アレッポ中心部の旧市街で崩落したブロック片などを撤去する男性の一団。右胸に日の丸をつけた紺色の作業服を着た男性もいた。日の丸の下には英語で「日本の人々から」。作業服は国連開発計画(UNDP)が支給したもので、UNDPがシリア復興事業に資金協力する日本政府の意向を受けて日の丸をつけた=14日、其山史晃撮影
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シリア内戦で、アサド政権が軍事的優位を盤石にしている。昨年12月、反体制派の最重要拠点だった北部アレッポを制圧し、流れを決定づけた。過激派組織「イスラム国」(IS)からもシリア国内の全拠点を奪還した。政権を支えるロシアとイランは、復興特需で商機拡大を狙う。一方、反体制派を支援してきた米国は、戦略の見直しを迫られている。
「政権と実業界が一緒になって、シリア再建を進めよう」。9日、首都ダマスカスのホテルで開かれたビジネスフォーラム。アサド政権で外国政府・企業との経済関係強化を担当するイマド・サブニ氏の訴えに、約250人が耳を傾けた。
シリア内戦ではアサド政権が軍事的優位を確立したが、終戦は見通せない。国連主導の和平協議は、アサド大統領存続を望む政権側と退陣を求める反体制派が対立し、膠着(こうちゃく)状態が続く。
シリア内戦の勢力図
反体制派は、支配地域は国土の約1割に過ぎないが、いまも北西部の要衝イドリブ県を支配する。一方、ISはシリアのすべての拠点を失ったが、地下に潜って爆破テロを続ける。
そうした状況にもかかわらず、ビジネスフォーラムの参加者は「いま大きな変化が起きている」と語る。
精密機器製造会社を経営するラドワン・ダルダリさんは、2014年に内戦激化で操業できなくなり、従業員32人を全員解雇し、細々と続けてきた。だが今年8月、6年ぶりにダマスカスで開かれた国際商品見本市を訪れたフランスなどの外国企業関係者から、「どうしたらシリアでビジネスをできるか」と相談された。以来、接触してきた外国企業は7社に上る。
メクダド副外相は朝日新聞の取材に「復興には4千億ドル(約45兆円)以上かかる」と語った。ダルダリさんは「復興という大きなケーキを前に、たくさんの外国企業がスタートの号砲を待っている感じだ」。(ダマスカス=其山史晃)
シリア内戦を巡る構図
アサド政権支援のロシア優位
「あなた方はシリア国民を助け、我が国を脅かす者に壊滅的打撃を与えた」
11日、シリア西部のロシア空…