16日、韓国の文在寅大統領が訪ねた「大韓民国臨時政府旧址陳列館」。建物は復元されたものだという=中国・重慶、武田肇撮影
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は16日、訪問先の中国・重慶で、日本の植民地時代に独立運動家が樹立した大韓民国臨時政府の旧庁舎を訪問した。独立運動家の子孫らとも歓談し、今後、軍事組織だった「光復軍」の施設を含め、中国にある独立運動ゆかりの史跡の復元を進めていくとの意思を示した。
文氏は「(中国にある)大韓民国臨時政府は韓国の根だ。記念館を韓国国内でも建設する」と語った。
重慶は第2次世界大戦中、中国国民党の臨時政府がおかれ、大韓民国臨時政府は1945年1月に上海から移転し約10カ月活動した。大統領府によると、中国4都市にあった大韓民国臨時政府の庁舎のなかで最大規模といい、韓国大統領の訪問は初めて。
現在の韓国は憲法で、「(中国に拠点があった)大韓民国臨時政府の正統性を受け継いでいる」と規定しており、歴代大統領は1992年の国交正常化以来、ゆかりの地の訪問を重ねている。
文氏は13日からの訪中で「(中韓)両国は帝国主義による苦難をともに経験し、ともに抗日闘争を繰り広げ、厳しい時期を一緒に乗り越えてきた」との歴史認識を強調しており、関連施設の復元には、米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD(サード))問題で冷え込んだ両国関係を回復する象徴にしたい狙いもある。(重慶=武田肇)