記念撮影に臨む「空海 KU―KAI 美しき王妃の謎」(中国タイトル「妖猫伝」、特別協力・朝日新聞社)の陳凱歌監督(後列中央)と出演した染谷将太さん(同右から5人目)、黄軒さん(前列左から2人目)、阿部寛さん(後列右から4人目)、松坂慶子さん(同3人目)ら=北京市、福田直之撮影
唐代の中国を舞台に僧侶・空海と詩人・白楽天が謎解きに挑む姿を描いた映画「空海 KU―KAI 美しき王妃の謎」(中国タイトル「妖猫伝」、特別協力・朝日新聞社)の完成発表会がこのほど、北京であった。約150億円をかけた日中共同制作映画で、陳凱歌(チェンカイコー)監督は「この映画は唐の時代から現在にいたる両国の民間交流を継承したものだ」と話した。
海外作品初出演の染谷将太さんが中国で仏教を学んでいた空海を、中国の若手人気俳優の黄軒(ホワンシュアン)さんが白楽天を演じる。阿倍仲麻呂を阿部寛さんが、仲麻呂の側室・白玲を松坂慶子さんが演じるなど、日中の実力派俳優が出演する。
原作は夢枕獏さんの「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」(角川文庫/徳間文庫)。KADOKAWAの角川歴彦会長が制作を持ちかけて10年。唐の都・長安を模した東京ドーム約8個分の広大なセットを湖北省襄陽市に6年かけて造った。2016年7月から17年1月まで半年かけて撮影された。
中国の声優による吹き替えにはなったが、演技が自然に見えるよう染谷さんは中国語のせりふで通した。中国語は初めてだったが、渡航1カ月前から勉強を開始。まずせりふの音から入り、現地に滞在しつつ文法や意味を覚えた。今後の中国映画への出演について、「せっかく覚えた中国語。これからもチャレンジし続けられたらうれしい」と述べた。
松坂さんは女優生活50年を迎え「これで一区切りしようかと思っていた」時に出演の話が来た。撮影は「役になりきれる環境だった」といい、「もう一回やってみようと大きくUターンした」と考え直したという。
中国で22日から先行上映され、日本では来年2月24日から上映される。(北京=福田直之)