2018年度一般会計予算案の骨格
政府は22日、2018年度当初予算案を閣議決定した。一般会計の総額は97兆7128億円と、17年度当初予算より0・3%増え、6年連続で過去最大となった。税収を27年ぶりの高水準と見込み、新たな借金である新規国債は減らすが、予算の3割超を借金に頼る厳しい財政状況が続く。
総額を押し上げたのは、歳出の3分の1を占める社会保障費だ。高齢化で医療や介護などの費用がかさみ、17年度当初より1・5%増の32兆9732億円にのぼった。高齢化に伴う伸びは財政再建計画で「目安」とされる5千億円以内に抑えた。ただ、6年ぶりの医療・介護の公定価格の同時改定では、医師らの人件費にあたる診療報酬本体と介護報酬を増額。一方、生活保護では生活費の支給額を3年かけて減らすことになり、支給額が最大で5%減る世帯も出る。
安倍政権が掲げる「人づくり革命」関連では、待機児童の解消に向けた11万人分の保育施設の運営費として1152億円(事業主拠出金など含む)を計上。大学生らの給付型奨学金や無利子奨学金の拡充にも計1063億円をあてる。
核・ミサイル開発を加速する北朝鮮への対応で、陸上からミサイルを迎撃する「イージス・アショア」2基の導入を決め、調査費など7億円を計上。防衛費全体では1・3%増の5兆1911億円と、4年連続で過去最大となった。
国債の元利払いにあてる国債費は、金融緩和による超低金利で1・0%減の23兆3020億円とした。
歳入は、高い経済成長を前提に、税収を1兆3670億円多い59兆790億円と見込んだ。1991年度の59・8兆円に次ぐ27年ぶりの高水準だ。これに伴い新規国債発行額は6776億円減らし、33兆6922億円とした。それでも、歳入全体に占める借金の割合は34・5%に達する。
あわせて政府は2兆7073億円の追加歳出を盛り込んだ17年度補正予算案と、18年度の税制改正大綱も閣議決定した。(中村靖三郎)