米科学誌サイエンスは22日付で2017年の科学10大ニュースを発表、欧米の国際研究チームによる「中性子星の合体の観測」を筆頭にあげた。合体で生じた「重力波」についての研究は今年のノーベル物理学賞を受けており、日本人研究者も貢献している。
研究チームは、地球から1・3億光年離れた二つの「中性子星」の合体で生じた重力波をとらえることに成功し、10月に発表。関連の観測も含めて953機関、3674人の研究者がかかわり、日本の国立天文台の「すばる望遠鏡」(米ハワイ州)も参加した。
ほかに、インドネシア・スマトラ島でのオランウータンの新種発見、今年のノーベル化学賞を受賞した「クライオ電子顕微鏡」による研究、査読前論文を公開する「プレプリント」の広がりなどを挙げた。
一方、科学界の残念な出来事として、トランプ米大統領と科学者の対立を挙げた。トランプ氏が温暖化対策の「パリ協定」からの離脱を宣言したほか、多くの環境規制を後退させ、基礎科学の関連予算を削減したことなどが理由という。
メキシコ・カリフォルニア湾にしかいない希少なイルカの絶滅危機や、米国の研究機関や大学で発覚が相次いだセクハラ問題も挙げている。(小堀龍之)
【米科学誌サイエンスが選んだ1…