子どもの事故、とくに家庭内での事故は日本では「親の不注意」と見られがちです。そうした中で、「科学の目」で事故を分析し、有効な予防策につなげていこうとの取り組みが始まっています。
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東京都の商品等安全対策協議会は、製品が関わる子どもの事故を科学的に分析して防ごうと、定期的に会合を開いています。年ごとにテーマを決めていて、2017年のテーマは転落事故の防止です。子どもが遊んでいる拍子に、ベランダや窓から転落して大けがをしたり死亡したりする事故が後を絶たないためです。
手すりメーカーの関係者や有識者らが集まった10月の会合では、産業技術総合研究所の西田佳史首席研究員がある実験結果を伝えました。子どもが手すりにつかまってよじ登り、下をのぞき込んだ時にバランスを崩して落ちてしまうケースがあるためです。
実験は、ベランダに付ける手すりの形状によって、転落のリスクがどう変わるかを調べたものです。柵の真上に手すりを付けた場合と、内側に張り出すように付けた場合で、どちらが乗り越えにくいか、2、4、6歳の子ども計21人に試してもらいました。4歳以下は、垂直よりも内側に少し張り出した手すりだと、乗り越えられないか、乗り越えにくくなることが分かりました。
都ではこうした実験結果なども踏まえ、より安全性の高い手すりの開発を手すりメーカーなどに呼びかけたいといいます。
これまでも、この協議会の提言により、子どもが取り出しにくいボタン電池のパッケージの開発、のどに当たってもぐにゃりと曲がる歯ブラシの開発などにつながってきました。
西田さんは「製品のデザインを工夫すれば予防効果が見込める。センサーを使って子どもがベランダに出たことを感知する予防システムなども有効だ。親が四六時中見張るなど、個人の努力で事故を防ぐのは限界がある」と話しています。(後藤泰良)