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官公庁や多くの企業・団体で28日、「仕事納め」があった。中学生棋士・藤井聡太四段が将棋の連勝記録を塗り替え、上野動物園ではジャイアントパンダの赤ちゃん「シャンシャン(香香)」が誕生……。疑惑に揺れた職場もあった。2017年もあとわずか。
藤井人気、観るファン増えた
藤井四段が公式戦29連勝の新記録を打ち立て、羽生善治竜王が史上初の「永世七冠」を達成するなど、大きな注目を集めた将棋界。
入場制限の日もあった将棋会館の道場。藤井聡太四段のクリアファイルもよく売れたという=東京都渋谷区
藤井四段は28日、関西将棋会館(大阪市)で年内最後の対局に臨んでいる。将棋界の八つあるタイトル戦の一つ、王座戦の1次予選で、午前10時に始まった。
藤井四段が29連勝を果たした舞台となった東京都渋谷区の将棋会館も、28日が仕事納め。会館の道場には今年、ファンが将棋を指すために連日つめかけた。週末は約200人の定員が満員になり、入場制限をかける日も多かったという。
日本将棋連盟常務理事の森下卓九段(51)は「これまでにない社会現象で驚いた」と振り返る。「藤井ブーム」の影響で女性を中心に、将棋を見て楽しむファン「観(み)る将」が増えたといい、「指して楽しむファンにつながっていけば将棋界としてうれしい」。
シャンシャン見たくて
上野動物園のパンダ舎の前で観覧待ちの列をつくる来園者=28日午前10時7分、東京都台東区、越田省吾撮影
6月に生まれたジャイアントパンダの「シャンシャン」フィーバーにわいた上野動物園も、28日が年内最後の開園日だ。この日の観覧の倍率は62倍で、パンダ舎周辺は当選者らでにぎわった。ぬいぐるみなどのグッズが次々と売れ、中でも生後10日目のピンクの地肌感や重さを再現した商品は入荷待ちになるほどの人気ぶりという。
「諦め半分で応募し、当選はまさかと思った」と茨城県日立市の会社員、海老原弘明さん(32)。妻の望さん(33)は「子パンダのぬいぐるみを買って帰ります」と話した。
19日の一般公開開始から27日までにシャンシャンを見られた人は1万2676人。同園の金子美香子教育普及課長は、「来年もシャンシャンが順調に育ちますように。動物にも人間にも幸せな1年となることを願います」。
「参拝客、減ってしまうのか」
正月を迎える準備が進む富岡八幡宮=28日午前、東京都江東区、恵原弘太郎撮影
宮司の女性(58)が弟の元宮司(56)=死亡=に殺害されたとされる事件が起きた東京都江東区の富岡八幡宮。事件から3週間がたち、しめ縄が飾られた本殿前では、「新年祈禱(きとう)受付」のテントの設置準備が進められていた。
例年は正月三が日だけで約15万人が初詣に訪れるという東京有数の神社だが、事件の影響を不安視する声も漏れる。参道の祭り用品店の男性店員(77)は「事件と八幡様は無関係だが、『参拝客が減ってしまうのか』と心配する地元住民の声をよく聞く。にぎやかな神社が続くことを願っている」。
加計問題の1年「謝るしかない」
組織的な「天下り」が発覚して批判を浴びたうえ、加計学園による獣医学部新設でも追及を受けた文部科学省。この1年について幹部の一人は「『文科省は何をやってるんだ』と世間の不信を招いたことを強く反省して、謝るしかない」とため息をついた。「若い職員はタフで、良い政策を進めようとしている。未来をつくる大事な役割を果たせるようにしたい」
一足早く27日に都庁での仕事納めを迎えた小池百合子都知事は、1年を振り返り、「今年は走行距離がすごく長かった。あちこち動き回った」と語った。
7月の都議選では都民ファーストの会を率いて大勝した小池氏。10月の衆院選では希望の党代表として国政選挙に打って出たが、知事と国政政党の代表という「二足のわらじ」に、都政軽視との批判が噴出した。自身の失言も絡んで希望が失速すると、国政から身を引き、都政に専念する姿勢に転じた。小池氏は来年の抱負について、「より密度の濃い都政に励んでいきたい」と話した。