箱根駅伝といえば、山登りの５区。元祖「山の神」こと今井正人さん（現トヨタ自動車九州）は順大、２代目の柏原竜二さん（現富士通）は東洋大、３代目の神野大地さん（現コニカミノルタ）は青学大と、みんな大学は違った。だが３人のうち２人は共通点もある。今井さんと柏原さんは福島出身だ。

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福島出身は山に強い？ 今大会、その意味で「次の神様」になれそうな男がいる。その名も山田攻。福島・学法石川高出身の順大の３年だ。

「山を攻める」の名の通り、登りにめっぽう強い。前回大会も５区を走って区間５位だった。長門俊介監督いわく「昨年は秘密兵器的に使って、最初の（約１６キロの）登りだけなら区間トップのタイムだった。その後の（約５キロの）下りや平地で沈んでしまった」。でも。「今年の山田は下りや平地も走れるようになって帰ってきました」

山田本人も前回大会の苦い思い出を糧に、１年間走り込んできた。「去年は正直、走れるだけでうれしかった。走り終えてやっと『もう少しやれたな、悔しい』と思えた。今回は悔いを残さず走りたい」

本人の中にはすでに「山の神」計画もある。３年生で迎えた今回の山登りでは区間賞。そして来年、最上級生で迎える最後の山登りでは「神」と呼ばれるぐらいの突き抜けた走りをすることを思い描く。

２０・３キロで３、４分の差が平気でついてしまう特殊区間。「どんな順位でもらっても、抜いてトップに立ってくれるという信頼感があるのが山の神だと思う。そういう強い選手になりたい」（平井隆介）