メイカーらが集まる創業支援施設に立つ高須正和さん=2017年12月8日、深圳、益満雄一郎撮影
挑戦のすゝめ:DIY祭典の仕掛け人・高須正和さん
――2015年から、国際的なDIYの祭典「メイカーフェア」の深圳での運営に携わっていますね。
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「メイカーとは自分で作りたい物を作る人で、製造業の会社を指すメーカーとは区別して使われます。メイカーが作った作品を出展・披露するイベントがメイカーフェアで、工作版のコミケのようなものです。発明好きの会社員や学生といった愛好家から、新商品を開発する企業の人まで幅広い層が出展します。00年代に米国で始まり、今では日本や中国、欧州など、世界各地で年間200回ほど開催されています。近年はそういう愛好家の活動がヒット製品を生み出すとして注目が高まっています」
「米アップルの成長の歴史は40年ほど前、ジョブズとウォズニアックが自作のコンピューターを愛好家の集まりで販売したのが始まりです。このような集まりを世界的な規模に発展させたのがメイカーフェアといえば、わかりやすいかもしれません。起業のための資金集めを容易にするクラウドファンディングや3Dプリンターの登場、イノベーション(技術革新)を求める各国政府が目を向けたことなどもあって、メイカームーブメントは世界的な潮流となっています」
高須正和(たかす・まさかず)
74年、埼玉県生まれ。97年に和光大を卒業後、広告会社やシステム開発会社などに勤務しながら、シンセン(中国)とシンガポールのメイカーフェアの運営協力をしてきた。17年12月、メイカー向けの電子部品を設計・製造する「スイッチサイエンス」(東京)に転職し、シンセンを拠点に海外ビジネス開発を担当。
――中でもなぜ深圳で?
「深圳は人類史上、最速で成長した都市と言っても過言ではありません。1980年に中国初の経済特区に指定されたとき、人口はわずか3万人でしたが、今は1400万人以上に増えました。『世界の工場』と言われる製造業の蓄積に加え、創業を後押しする環境も整って、世界中の発明家や愛好家が集まるイノベーション(技術革新)のハブ(拠点)になっています。そうした場所で、世界のメイカーたちとつながっていきたいと考えたのです」
――イノベーションに関心を持ったのはなぜ?
「97年に大学を卒業したので…