今年の初競りで最高値をつけた405キロの生鮮本マグロ=東京都中央区
東京都中央区の築地市場で5日早朝、初競りがあった。市場は10月に豊洲市場(江東区)に移転予定で、初競りは今回が最後。毎年、高値で話題となる生鮮本マグロは、青森県大間町産の405キロが最高値の3645万円(1キロあたり9万円)で落札された。築地の節目の一年は例年通りのにぎわいで始まった。
本マグロを最高値で落札した水産仲卸「やま幸(ゆき)」(中央区)の山口幸隆社長は「年末に水揚げされた時から狙っていた。うれしい」と、してやったりの表情。最高値のマグロを釣り上げたはえ縄漁船第56新栄丸の竹内正弘船長は「今年が築地最後と言われ続けて努力してきた。本当にうれしい」。竹内船長にとっては3年連続6回目の初競り最高値となった。
昨年の初競りまで6年続けて最高値で落札してきたすしチェーン「すしざんまい」の運営会社は、大間産190キロを3040万円で競り落とした。1キロ単価としては最高値(16万円)で、同社の木村清社長は「総額で負けちゃって少し悔しいけど、最高の質です」と話した。
築地市場の豊洲移転は、小池百合子都知事が2016年8月に延期した後、約2年遅れで今年10月に実現することが昨年末に決まったが、土壌汚染による風評被害への懸念など課題を抱えている。仲卸業者でつくる東京築地魚市場大物業会の横田繁夫会長は、初競り前にあいさつし「僕らの世代で豊洲市場の新たなブランドを築いていく必要がある」と語った。(野村周平、林義則)