「元ビリギャル」の小林さやかさん=早坂元興撮影
希望はどこに 元ビリギャル・小林さやかさん
学年ビリのギャルから慶応大学に現役合格したことで有名になった「ビリギャル」こと、小林さやかさんは今年で30歳。全国各地で中高生に講演をする日々です。大人に絶望し、将来やりたいことを見つけられずにいたかつての自分の姿を重ね合わせるそうです。シリーズ企画「希望はどこに」の第7回。元ビリギャルが今、一番伝えたいメッセージとは。
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高校2年の夏まで学年ビリのギャルだった私が、塾講師と出会い、慶応義塾大学に合格。120万部のベストセラーとなり、映画にもなりました。ビリギャルというと受験の話だと思われがちですが、本当はそうじゃないんです。
今は全国で講演をさせてもらっています。中学生や高校生に接していると、大人になることや社会に出ることに対して、プラスに考えている子がとても少ないと感じます。進学校もあればそうじゃない学校もありますが、どこもまじめで良い子が多いし、私のようなギャルなんてほとんど見かけません。
質問で一番多いのは何だと思いますか。「あと1年で偏差値を20上げるにはどうしたらいいですか?」ですよ。本気で言ってる? 偏差値が何かわかってる? 私だってまだわかってないよ、って心の中で思います。どうしてもあの大学に行きたい、社会に出たい、そう思って聞いているようには思えない。
私の場合、わくわくできる目標がたまたま慶応大学だっただけです。「嵐」の桜井翔君みたいなかっこいい人がたくさんいるのかな。塾の坪田(信貴)先生のような楽しい大人と出会えるかもしれないな。そんな理由でした。
「最初から頭がよかったんだ」とか「進学校だった」と的外れな批判をされましたが、頭のいい子が慶応に受かった、なんて話ならあんなに売れない。私みたいな子でもできる、誰でも可能性があるところに意味がある。偏差値が上がるかどうかじゃなくて、心からわくわくできるものを見つけられるかどうか。親は子どもを信じられるかどうか。それがビリギャルの本当のメッセージです。
これからの社会で生きていくために
大学を卒業してから多くの人に出会った小林さん。若い世代への思いを語ります。
希望がない、なんて言いたくな…