判定について審判に抗議する中日時代の星野仙一監督=1998年
打倒・巨人一筋に執念を燃やした星野仙一氏が逝った。監督として最後の大勝負になった、楽天時代の2013年日本シリーズを担当記者として間近で見た。
特集:星野仙一さん死去
監督の立場でただ一度、日本一に輝いたこの年は、11年に起きた東日本大震災から3年目。「東北復興」を旗印に、公式戦24勝無敗の現大リーグ・ヤンキースの田中将大を擁し、原辰徳監督率いる巨人に挑んだ。
3勝2敗の第6戦で田中が完投しながら敗れた時は命運尽きたと思った。ところが、第7戦。3点リードの九回、再びマウンドへ田中を送った。その右腕が無失点で締めて、歓喜の瞬間を迎えた。「被災者の皆さんに勇気を与えた選手たちを褒めてやってください」という声は震えていた。
この日本シリーズ中に巨人の元監督でV9を「背番号77」で達成した川上哲治氏が死去した。実は、星野氏が3球団の監督で背負った「77」は、自らの引退後に親交が深くなった川上氏を慕って選んだものだ。
早くに父を亡くし、母校明大野…