優勝を決め、抱き合うLS北見の選手たち=細川卓撮影
「氷上のチェス」とも呼ばれるカーリング。平昌冬季五輪で、日本チームは長野五輪以来20年ぶりに男女同時出場する。選手の腕とともに勝敗のカギを握るのが、ストーンの配置などの作戦だ。セオリーを超える作戦の立案に人工知能(AI)を活用しようとする研究が進む。
昨年12月に長野県軽井沢町で開かれた軽井沢国際カーリング選手権大会。五輪男子代表のSC軽井沢クラブと女子代表のLS北見に加え、スイスやスウェーデン、韓国代表なども参加した前哨戦だ。
氷上を滑るストーンの進路を選手がブラシで懸命にこする。相手ストーンに狙い通りにぶつかり、はじき飛ばす音が響いた。ナイスショットのたび、客席から拍手が湧いた。
会場の片隅で、試合を終えた北見工業大チームの選手がiPadを囲んで、「どちらの手がリスクが高いかだよね」「点を取るべき場面なのでハウス内にストーンを入れて、相手のショットを難しくする手もあった」などと試合展開を振り返っていた。
iPadで見ていたのは、同大の桝井文人准教授(情報科学)が2014年に開発した戦略支援アプリ「iCE(アイス)」だ。試合中に入力した自チームと相手チームのショットを一投ごとに振り返ることができる。ショットの成功率も選手、種類ごとに確認可能だ。
これまでに同大や国内のクラブチームなど約10チームが採用。計約800試合、8万ショットのデータが蓄積されている。過去に似た局面で、どんなショットをしたかも検索できる。
同大4年の鹿野大貴選手は「過去のデータを参考にして作戦を立てられる。試合の予習にも役立つ」と話す。
カーリングでは従来、試合結果は紙に記録するのが主流で、データの蓄積や活用が十分ではなかった面もあるという。桝井さんは「コーチの経験による指導に頼ることが多く、教え方もそれぞれ違った」と話す。アプリを導入したことで、データに基づいて客観的な分析が可能になったという。
今後は、試合の動画を元にデー…