記者会見後、握手を交わす河野太郎外相とアウンサンスーチー国家顧問=12日、ネピドー、染田屋竜太撮影
河野太郎外相は12日、ミャンマーの首都ネピドーでアウンサンスーチー国家顧問と会談した。同国西部ラカイン州から約65万人のイスラム教徒ロヒンギャがバングラデシュに逃れている問題で、河野氏は難民帰還のために300万ドル(約3億3千万円)の支援をすると伝えた。河野氏は13日、ラカイン州を視察する。
日本側の説明によると、支援は難民の帰還に必要な水や燃料などの費用に充てられる。これとは別に難民帰還のため、国際機関を通じた2千万ドル(約22億円)の支援が今年度補正予算案に盛り込まれているといい、河野氏はこの件も伝えた。スーチー氏は「支援に感謝する」とした上で、バングラデシュ政府と協力し、「安全で自発的な帰還を進めたい」と応じたという。
また、河野氏はミャンマー治安部隊が昨年9月、ロヒンギャ10人を法的な手続きを経ずに殺害していた事件について、国軍が調査し、関与した部隊員の処分を検討していると明らかにした点を「評価する」と述べつつも、ロヒンギャへの人権侵害について、国際的な助言に基づいた信頼性のある事実調査を求めた。スーチー氏は会談後の記者会見で、「国軍が自分で責任をとろうとしている」と前向きな姿勢を見せた。
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の問題については、河野氏が会談で「圧力を最大限まで高める。拉致問題は重要だ」と語ると、スーチー氏は「国連決議に従う。日本に協力する」と応じたという。
河野氏はスーチー氏との会談後、ミンアウンフライン国軍最高司令官とも会談。同司令官はロヒンギャ10人の殺害事件について遺憾の意を表明したという。(ネピドー=染田屋竜太)