女子フリーの演技を終えた本郷理華=遠藤啓生撮影
(23日、フィギュアスケート・全日本選手権女子フリー)
フィギュア特集 Kiss and Cry
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「悪いときは必ずある。あきらめずに乗り越えたら、強くなれるよ」
コーチや家族にかけられたそんな言葉を胸に捲土(けんど)重来を期してきた本郷理華だったが、ショートプログラム3位から総合6位と順位を落とした。
長い手足を生かした大きな踊りと豪快なジャンプ。そんな本来の持ち味を十分に発揮してきた。
2014年シーズンにシニアグランプリ(GP)デビューし、ロシア杯で優勝。GPファイナルと世界選手権で共に6位になり、注目を浴びた。
しかし、そこからは下り坂だった。昨季は、四大陸選手権で10位、世界選手権で16位。けがもあり、「不安があった」と涙した。
06年トリノ五輪の荒川静香を見て、「自分も五輪で金メダルを取りたいという夢を持った」という。荒川と同じ仙台のリンクで、荒川を育成した長久保裕コーチに師事して力をつけてきた。リンクの閉鎖で長久保コーチが名古屋に拠点を移したとき、指導を受け続けるために9歳で親元を離れて名古屋に引っ越した。
その長久保コーチは五輪シーズンの今年9月、家族の事情もあって退任した。異例の事態にも「長久保先生もびっくりするような演技ができるように頑張りたい」と前向きに話した。
この日のフリーは2度、転倒したが、すぐに立ち上がって滑り続けた。成瀬葉里子コーチ、母でもある裕子コーチに見守られ、「あきらめずに」を貫いた演技だった。(後藤太輔)