サポーターの前であいさつする柏の沢昌克
サッカーのJ1柏に、異色の逆輸入選手が戻ってきた。ペルーでプロキャリアをスタートしたFW沢昌克(35)。2008~13年に柏でプレーし、11年のJ1初優勝にも貢献したベテランが5年ぶりに柏でプレーすることになった。
「どっきりかと思いました」。10日にあった新加入選手のお披露目で、沢は柏からオファーを受けたときの心境を明かした。サポーターから拍手で迎えられると、「もうすぐ35歳になるが、35歳でもできるところを見せたい」。笑顔で答えた。
沢は千葉・中央学院高卒業後にアルゼンチンに渡り、ペルーのクラブでプレー。07年にはペルー・ムニシパルでの活躍が認められ、ブラジル人らを抑えてリーグの最優秀外国人選手賞を受けたほど。日本に帰国すると、運動量豊富なプレーで、柏のJ1初優勝にも貢献した。
妻はペルー人。柏を離れるときに「ずっと向こうかな」と覚悟してペルーに戻ったという。だが、昨季所属したペルー・ムニシパルでは思い通りのプレーができなかった。契約更新の話もあったが、「環境を変えたい」という意思を代理人に伝えたところ、柏からの誘いがあったという。
MF栗沢僚一(35)と並んでチーム最年長。若手主体のチームがベテランを獲得するのは異例だ。「昨年、優勝争いから離脱した柏は、ボールが保持できなくなると、我慢できずに崩れたと聞いている。逆境を跳ね返す役割を果たしたい」という。柏は所属選手30人のうち13選手が下部組織出身。エリート選手が多い中、沢は毛色の違う存在だ。「今の若い子たちは誰が見てもうまいし、クール。南米でわかったのはハートが大事だということ。ハートの部分を伝えていきたい」と意気込む。(河野正樹)