セイコーホールディングスに入社した福島千里(手前)と同社アスリート社員の山県亮太
陸上女子100メートル、200メートルの日本記録保持者、福島千里(29)が新天地で更なる飛躍を誓った。11日にセイコーホールディングスへの入社会見を行い、「2020年の東京五輪を目標に、まずは今年の日本選手権で優勝、アジア大会で金、日本記録の更新の三つを目指す」と抱負を語った。日本記録達成は100メートル(11秒21)が8年前、200メートル(22秒88)が2年前。昨年は日本選手権で両種目ともに連覇が途絶えたが、新たな環境で復活を目指す。
記者会見には、同社に所属するリオデジャネイロ五輪男子400メートルリレー銀メダリストで、100メートルは日本歴代2位タイの10秒00のタイムを持つ山県亮太(25)も登場した。
昨夏、一緒に練習する機会があり、同社のサポート体制の良さを知ったのが福島の入社のきっかけだったという。山県は「競技では先輩だが、入社は僕の方が先輩。会社のことは何でも聞いてくれという感じです」と笑いを誘った。
一緒に行う練習について、福島は「つらい時のタイム設定を、ちょっと私が思っているより高めに設定してくれたり、時には厳しいところもあるが、楽しくやっている」という。さらに、「(山県と練習することで)女子では感じられない速さで、自分のリミッターを外して新たな記録に向かって挑戦できる」と手応えも口にした。
山県も福島を「ずっとトップであり続けた先輩。一緒にやることは刺激になるし、光栄な気持ち。ダブルで日本記録を取れたら」。
2人は練習でも同時にスタートすることはないが、「こっそりきょうは差を何秒以内に抑えたいなとかは考えている」と福島が明かし、山県が驚く場面もあった。
これまで拠点にしていた故郷の北海道を離れ、東京での新生活にもなじんだという。「家探しから始めたけど、家を探す前に元の家を解約してしまった」と、引っ越しでまさかの「フライングスタート」をしてしまったエピソードも照れくさそうに披露した。(大坂尚子)