北朝鮮は29日夜、金剛山地区で2月4日に開く予定で調整していた韓国との合同文化行事を中止すると、南北高官級協議の北朝鮮側代表の名義で韓国に通知文を送った。韓国統一省が29日夜、発表した。南北対話を有利に進めるための揺さぶりとみられる。
同省によれば、北朝鮮は、平昌(ピョンチャン)冬季五輪を巡って、韓国メディアが北朝鮮のとった一連の措置を冒瀆(ぼうとく)していると批判。「北朝鮮内部の祝賀行事」の是非まで取り上げたとして、行事の中止を伝えたという。
五輪開幕前日の2月8日に平壌で行われる見通しの北朝鮮軍正規軍化70周年の軍事パレードに対し、韓国内外で広がっている批判を指したとみられる。
国際社会による制裁の緩和や米韓合同軍事演習の中止などを実現するため、南北対話に意欲を示す韓国側を揺さぶり、同調を促す狙いがありそうだ。
南北は五輪への北朝鮮代表団参加を巡る協議のなかで、南北合同で金剛山地区での文化行事や馬息嶺(マシンリョン)スキー場でのスキー練習を開くことを韓国側が提案し、合意していた。
韓国政府は、北朝鮮側の通知について「非常に遺憾だ」とし、「南北が尊重と理解の精神で合意事項を必ず履行すべきだ」と強調した。(ソウル=牧野愛博)