戦闘服姿で訓練コースを駆け抜ける子供たち。教官が持つ銃からはエアガンの弾が飛ぶ=2017年11月、カルーガ州、中川仁樹撮影
ロシアで愛国心のうねりが高まっている。3月に4選を目指すプーチン大統領にとっては、国民の国家への忠誠の強まりは追い風に。大統領の「鶴の一声」で人々の不満を解決するパフォーマンスも繰り広げるなど、政権の権力基盤のさらなる強化を進めている。
戦闘服を着た子供たちが林の中を必死の形相で駆け抜ける。パンパンパン。カラシニコフ自動小銃からエアガンの弾が放たれ、教官が「ダバイ、ダバイ」(頑張れ、頑張れ)と叫んだ。
モスクワから車で約2時間半の町で11月に行われた軍事愛国キャンプ「秋の招集」。12~17歳の14人が参加し、軍事教練を受けた。
筆頭教官はロシア軍空挺(くうてい)部隊の元大佐。子供たちは「戦闘員」と呼ばれる。使用する自動小銃や手投げ弾などの「武器」は半分が本物を改造。倉庫には狙撃銃や迫撃砲も並び、軍の武器庫のような迫力だ。日本でも買える空撮用ドローン(無人飛行機)を使った爆撃や、地雷処理も習う。
指導は厳しい。格闘術では、教官が子供たちの体を地面に容赦なく倒す。整列中、突然、手投げ弾の模型が投げ込まれ、爆発音がして煙があがる。夜の行軍では林の中を夜通し歩き、暗闇の中で野宿もする。教官は「生死を意識することで心が鍛えられる」という。
8回目の参加となるドミトリー・ポグリャエフさん(15)は「どんな銃か知っていれば、何かあっても生き残れる。それを学べるのは軍しかない」と話す。
キャンプを主催するのはロシア…