選手たちを指導する帯広南商業高校スケート部の東出俊一さん
10日夜のスピードスケート女子3000メートルで高木美帆(23)が5位に入った。中学生で五輪に出場して「日本の宝」とも言われ、早くから世界を意識してきた。メダルに届かなかったが、8年ぶりの大舞台を恩師が見守った。
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2010年バンクーバー五輪に中学生で出場した。「スーパー中学生」「日本の宝」。そう言われた高木は、北海道の帯広南商業高校に進学した。同校スケート部監督だった東出俊一さん(61)はこの日のレース後「滑りや動きは普段通りで調子は悪くない。オランダ勢の仕上がりがよかった。次はメダルのチャンスが十分ある」と期待を口にした。
高校時代、技術面も含めてできるだけ本人に任せるようにした。「指導者はいい選手に出会うと細かく口を出しがちだが、おれはつなぎだから」と振り返る。
1年のとき、本人の希望で60レースほどに出た。スケート連盟の関係者から「多すぎる」と心配された。「大変だぞ」とやんわり忠告すると、高木は言った。「物理的に可能なら全部出たい」
海外遠征の前、各教科の教員に「課題があればください」と言って回る姿を見た。カバンには厚い教科書がたくさん。飛行機の中でも勉強していた。家庭科のリポートでは、ドイツなど訪問国の食事を写真付きでまとめた。
海外に行くたび、リンクの状態や施設などを詳細に覚えていた。東出さんは「世界で戦うため、早めに見ておきたかったのだ」と思う。「プレッシャーに負けるようなタイプではない。五輪はすでに経験しているし、簡単なことではやられない」と期待を寄せる。
高校卒業後、実業団からの誘い…