斎藤慧
スポーツ界のトラブルを解決するスポーツ仲裁裁判所(CAS)は13日、平昌(ピョンチャン)冬季五輪のスピードスケート・ショートトラック男子の斎藤慧(21)=神奈川大=がドーピング検査で陽性反応を示したと発表した。今大会のドーピング案件の第1号で、日本選手のドーピング陽性反応は冬季五輪で初めて。
前例ないレース前検査で発覚 日本選手のドーピング陽性
ドーピング陽性の斎藤慧「身に覚えない」 コメント全文
特集:平昌オリンピック
CASの発表によると、大会前の4日に江陵(カンヌン)選手村であった抜き打ち検査で、利尿作用があり、ドーピング隠しの目的と疑われる禁止薬物アセタゾラミドが検出された。
斎藤が暫定的な資格停止を受け入れたため、平昌五輪、国際スケート連盟主催大会の出場は一時的に締め出される。CASの最終的な裁定は大会後に発表される。
斎藤は日本オリンピック委員会(JOC)を通じ、「ドーピングを行おうと考えたことはこれまで一度もありません」「私は筋肉増強剤を使用したことがありませんので、それを隠そうなどとは考えませんし、利尿剤を使用して体重を落とそうと考えたこともありません」などのコメントを発表した。また、斎藤は1月29日の合宿中に受けた検査では陰性であったことを明かし、「偶発的に起きた出来事により禁止薬物が無自覚のまま口に入ってしまったものだとしか考えられません」としている。
今後は身の潔白を証明するために戦っていきたいと考えているという。今はチームに迷惑がかかるので、暫定資格停止を受け入れ、自発的に12日に選手村を離れ、選手団から離脱することを決めたという。JOCは、その後の動向を明らかにしていない。
4年前のソチ冬季五輪でのロシアによる組織ぐるみのドーピング問題などを受け、国際オリンピック委員会(IOC)は大会前の抜き打ち検査に力を入れている。世界反ドーピング機関(WADA)によると、昨年4月以降で約1万7千件の検査を実施。大会中は血液、尿の検査で約2500件を検査する予定。(稲垣康介)
日本での主なドーピングにまつわる出来事
年 処分 競技 概要
1984 失格→取り消し バレーボール
テストステロンが検出されたが、再検査の結果処分は取り消し
1996 4年→2年 陸上
尿検査でステロイド系の物質が検出。本人は服用を否定
2016 過失なしで解除 サッカー
服用したサプリメントに興奮作用。過失なしで処分解除
2017 4カ月 自転車
海外製サプリメントが陽性反応。国体で初の陽性
2018 8年 カヌー
ライバル選手の飲み物に禁止物質を混入したことが発覚
2018 7カ月 競泳
ビタミン不足解消のため服用した海外製サプリメントが陽性