新潮社は18日、アマゾンジャパンがプライム会員向けに配信しているドラマ「チェイス」の配信中止を文書で申し入れたと発表した。同社のノンフィクション「殺人犯はそこにいる」(清水潔著)との類似点が多数あるとしている。
チェイスは、俳優の大谷亮平さんと本田翼さんが主演を務め、第1章は7話の予定で昨年12月22日から毎週金曜日に配信。5話まで配信された。公式サイトによると、フリージャーナリストとBSテレビ局のADが27年前に起こった五つの連続幼女殺人の未解決事件の真相に迫るサスペンスで、DNA型鑑定が決め手となって1人の男性が逮捕されたものの冤罪(えんざい)と分かり、ジャーナリストとADの2人が真実を暴き出す内容という。
一方、清水さんの作品は、日本テレビの記者として清水さん自身が北関東で実際に起こった5件の幼女殺害事件を丹念に取材し、このうち「足利事件」で逮捕された男性の冤罪(えんざい)を特報し、真犯人に迫ったノンフィクション。2013年に刊行され発行部数は36万部。
新潮社ノンフィクション編集部の正田幹編集長は「ドラマを検証した結果、物語の展開やセリフ、情景描写など多くの類似点が見つかった。アマゾン側から映像化の申し入れはなかった。映像化については事件の被害者である遺族の感情に配慮し慎重を期している」と話した。
アマゾンジャパン広報部は「現在、書面の内容について確認中」としている。(塩原賢)