福岡市は、LGBTなど性的少数者のカップルを公的に認定する「パートナーシップ宣誓制度」を4月に導入する。同性愛などの性的指向の人に限定せず、生まれたときの性別とは異なる生き方をするトランスジェンダーの人も対象とする方針だ。
国内では2015年、東京都渋谷区と世田谷区が同性カップルを対象に初めて導入した。政令指定市では札幌市が昨年6月、同性に限定しない宣誓制度を設けた。福岡市が導入すれば全国で7例目になる。
福岡市は14年度から検討に着手。当事者への聞き取りで、病院での病状説明や賃貸住宅の入居、携帯電話の料金プラン、航空会社のマイレージサービスなどで夫婦同様の扱いを受けられない状況を把握し、公的にカップルの存在を認める方法を検討してきた。
希望者は独身を証明する戸籍抄本などを添えて窓口に宣誓書を提出し、市が受領証を発行する仕組みになる見通し。支援団体の協力を得て電話相談窓口も設ける。新年度の一般会計当初予算案に、関連費用433万円を盛り込んだ。市の担当者は「様々な場面で弱い立場に立たされている人たちがいる。行政が公的に支援することを機に市民の理解につなげたい」と話す。
市は14日、総額8388億円の新年度一般会計当初予算案を発表した。今年度を0・7%上回り、5年続けて過去最高額を更新した。23日の市議会に提案される。(伊藤宏樹)
パートナーシップ制度の導入例
◇2015年
・東京都渋谷区(4月)
条例に基づき同性カップルに「パートナーシップ証明書」。住居の賃貸契約などで差別的な扱いをしないよう配慮を求め、是正勧告なども
・東京都世田谷区(11月)
「パートナーシップ宣誓書」に署名した同性カップルに「受領証」
◇16年
・三重県伊賀市(4月)
「パートナーシップ宣誓書」に署名した同性カップルに「受領証」。市民病院でパートナーの手術への同意などが可能
・兵庫県宝塚市(6月)
「パートナーシップ宣誓書」に署名した同性カップルに「受領証」
・那覇市(7月)
「パートナーシップ登録」した同性カップルに「登録証明書」
◇17年
・札幌市(6月)
「パートナーシップ宣誓書」に署名した性的マイノリティーのカップルに「受領証」
◇18年
・福岡市(4月予定)