「シェイプ・オブ・ウォーター」
米映画界の祭典、第90回アカデミー賞の授賞式が4日(日本時間5日)、米ハリウッドで開かれ、作品賞には最多13部門で候補になった「シェイプ・オブ・ウォーター」、監督賞に同作のギレルモ・デル・トロ監督が選ばれた。主演男優賞はゲイリー・オールドマンさん、主演女優賞はフランシス・マクドーマンドさんが受賞した。
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「シェイプ・オブ・ウォーター」は、アマゾンの半漁人と声が出せない女性の恋物語を通じて、障がいのある人や同性愛の老人、黒人女性の掃除人など、社会から様々な抑圧を受ける人々を描いた。デル・トロ監督はメキシコ出身で、初めて受賞した。
2月下旬、この映画が盗作だとして、すでに亡くなっている劇作家の親族がデル・トロ監督や制作会社を訴えた。物語の主人公や設定など、60カ所以上が類似していると指摘しているが、監督らは「見たこともない」と盗作疑惑を否定。訴訟が起こされたのはアカデミー会員による投票が始まる時期だったため、賞レースに影響する可能性も指摘されたが、予想通りの受賞だった。
ゲイリー・オールドマンさんは「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」でチャーチル英首相を熱演した。受賞のスピーチでは、同作でメーキャップ賞を受賞した辻一弘さんに「カズの芸術的才能に感謝したい」と話した。
主演女優賞のマクドーマンドさんは、米ミズーリ州の田舎町で娘をレイプされて殺され、犯人が捕まらないことにいらだち、町中を敵に回す母親を演じた。
受賞スピーチのなかでマクドーマンドさんは、今回の全部門で候補になった女性たちに立ち上がるよう呼びかけ、「みなそれぞれに語るものがある」と話し、喝采を浴びた。(ロサンゼルス=宮地ゆう)