「七福食堂」で焼き鳥を焼く小川勝子さん(左)とエヴァさん=2月21日、岩手県大槌町、葛谷晋吾撮影 南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)、今日も頑張ります。 岩手県大槌町の居酒屋「七福(しちふく)食堂」。小川勝子さん(77)は店の壁の「やっこ観音」に手を合わせ、のれんを掛けた。 「お母(が)さん、焼き鳥10本」。エヴァさん(45)が注文を通す。勝子さんが背を丸め、焼き台に串をのせると白煙が上がり、香ばしい匂いが漂い始めた。焼き上がった串をつぼのタレにくぐらせ、皿に盛った。 17席は満席だ。酒をつぎ、モツ煮をよそう。注文が途切れた。丸いすに腰掛け、洗い物の手を休めないエヴァさんに目をやった。 やっこ。あんたもちょっと手伝いに来ない? ◇ 2人が出会ったのは20年ほど前。エヴァさんが勝子さんの長男(49)と結婚したのが縁だ。17歳でフィリピンから来日し、隣町の飲食店で働いていた。 勝子さんは笑顔で迎えた。自分はしゅうとめとの仲に悩んだ。「海を越えて来てくれた嫁だ。大事にしなきゃ」。夫とけんかして泣くエヴァさんをかばい、一緒に泣いた。エヴァさんも「お母(が)さん」と慕った。 その頃、勝子さんは妹の阿部やす子さん(享年63)が営む七福食堂を一緒に切り盛りしていた。「やっこ」「姉さん」と呼び合い、いつも一緒だった。やす子さんもエヴァさんをかわいがった。誕生日には必ずプレゼントを贈った。エヴァさんも「おばちゃん」と呼び、頼りにした。 あの日、エヴァさんは高台に逃げ、津波を見せまいと長女(19)と長男(17)の目をふさいだ。勝子さんも津波にのまれる寸前、坂を駆け上がった。でも、9人の親族を失った。やす子さんも。 七福食堂はタレの焼き鳥が名物だった。つぎ足しながら使っていたが、店とともに流された。 震災から1カ月後、町内の水産加工場で、やす子さんの遺体が見つかった。勝子さんは「やっこの味を絶対に復活させる」と誓った。タレのレシピはやす子さんしか知らなかったが長年見ていて分かっていた。 避難所で伝統工芸「刺し子」を作り、開店資金を用意した。2011年10月、仮設住宅でタレを煮た。しょうゆ、みりん、ニンニク……。「合ってるよね」。やす子さんに祈った。 12月17日。被災した大槌北小学校の跡地にできた仮設商店街の一角で、七福食堂を復活させた。朝から夜まで、2千本の串が出た。「やっこママの味だ」。生き残った顔なじみがかぶりついた。勝子さんは焼きながら泣いた。 エヴァさんは12年春、避難先… |
仮設の一角、やっこさんのタレの焼き鳥に泣いた 岩手
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