最近の米朝関係
トランプ米大統領による突然の変わり身が、世界に驚きとして伝わった。「ロケットマン」と非難してきた北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との史上初の米朝首脳会談を、即決で受け入れた。ただ、北朝鮮は非核化への期待を裏切り続けてきた歴史があり、今回も核開発の時間稼ぎとの見方がいぜん根強い。
「国難」一転、米朝対話を容認 政府「日本抜き」を警戒
米朝が首脳会談へ 正恩氏、核・ミサイル凍結を約束
「韓国から重大発表があるぞ」。8日夕、メディア嫌いのトランプ米大統領が突然、めったに近づかないホワイトハウスの記者会見室に顔を出すと、満足げにこう記者団に告げた。
大統領執務室で、韓国大統領府の鄭義溶(チョンウィヨン)国家安保室長らとの会談を終えたばかり。韓国大統領府によれば、鄭氏が米朝首脳会談を望む正恩氏のメッセージを伝えると、トランプ氏は「良いだろう。会おう」と即答したという。米側の同席者たちを振り返り、「ほらみろ。対話が良いということだ」とも語った。史上初となる米朝首脳会談を決めたという高揚感と共に、自身の「成果」として強調したい思いがにじみ出ていた。
歴代の米政権では、最も権威がある大統領がやすやすと交渉の場に出ることはほとんどなかった。交渉は国務省などの事務方が下から積み上げるもので、次官補、次官、長官と順番に階級を上げるのが通常だ。オバマ前政権は北朝鮮問題で「戦略的忍耐」を貫き、北朝鮮が非核化に向けた行動を取らなければ、高官も交渉に応じなかった。
そうした「常識」を、予測不能さをディール(取引)の売りにするトランプ氏は一気に飛び越えてしまった。しかも、昨秋には対話を進めようとしたティラーソン国務長官を「時間の無駄だ」と切り捨てていただけに、変わり身の早さもトランプ流といえる。
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