長谷川さんが描いた峠の途中からの風景。「向こうが海。津波の時、この一本道を子どもらが逃げてきたと聞きました」
東日本大震災から7年を迎えた岩手県釜石市で、住民らが参加するお盆の野球大会が復活した。その大会を、大阪在住の絵本作家、長谷川義史(よしふみ)さん(57)が訪ねた特別番組が11日深夜、毎日放送で放映される。釜石の人々が奮闘する復活野球の物語は、この夏、絵本になる。
番組名は、「ちちんぷいぷい『とびだせ!えほん』特別編~震災から7年目の釜石・絵本作りの旅~」。長谷川さんが各地を訪ね、出会った人々をスケッチする人気コーナーの特別編だ。
今回訪ねたのは、釜石市の鵜住居(うのすまい)地区かいわい。大槌湾に面し、震災で壊滅的な被害を受けた地域だ。ここでは戦後、お盆の時期に野球大会が続いてきたが、震災で中断。昨年夏に7年ぶりに再開した大会を題材に、絵本を作ることになった。釜石の復興に力を尽くしてきた埼玉県在住の児童文学作家、指田和(さしだかず)さん(50)が文章を書き、長谷川さんが絵を担当する。
長谷川さんは昨年6月にあった地域の会合から取材を始め、大会復活を願う長老たちの熱い思いに触れた。漁港で出会った漁師にも話を聞く。「昔はお盆野球してましたね。みんなと一緒に」。8月の大会当日は、中学生チームも含め6チームが参加した。里帰りした親子、久しぶりに再会した同級生たち、ベンチで興奮するおっちゃんや涙ぐむおじいちゃんを、長谷川さんは描いた。
「釜石の男たちは力強かった」…