朝日新聞デジタルのアンケート 高校野球の魅力は何なのか。朝日新聞デジタルのアンケートでは、「ひたむきなプレー」「ドラマチックな試合」が上位に来ました。歴史的な成り立ちにも理由があり、応援風景にもその良さがあるようです。今回はこれからの高校野球に残していきたいところを考えます。 議論の広場「フォーラム」ページはこちら スポーツ通した成長 宝物 アンケートから、高校野球の魅力に触れた投稿の一部を紹介します。 ●「息子は7月生まれです。息子が生まれたとき、高校野球をみていました。この子も野球をしてほしいなと、思っていました。息子が高校2年生になったら、夏の大会は100回を迎えることに気づきました。あれから息子はスポーツ少年団、中学と、野球をつづけ、今年高校2年生になります。甲子園には遠いかもしれないけど、元気で野球に打ち込んでくれている姿、とてもうれしいです」(滋賀県・40代女性) ●「よく言われている、『ひたむきさ』『ドラマチック』『感動を生む』。それは見ている側が『勝手に』そう思っているだけであって、彼らは私たちを感動させるために野球をやっているのではないと思います。一番の理由は『野球が好き』だからではないでしょうか。改善がいろいろ言われていますが、そのことを踏まえての改善でなければ彼らのためにもならないのでは。いろいろ書いていますが、福岡代表が敗退しても、『まだ九州勢は沖縄がいるから!』とか『まだ長崎が!』とか勝手に応援してしまいます」(福岡県・40代女性) ●「甲子園に初めて行った時のことは今でも覚えています。ものすごい大きいと感じました。甲子園の試合ではしばしば漫画の世界のようなことが起きるので見ててとても面白いし、飽きずに最後まで見ることができます。あのような大観衆の中、良いプレーをできる高校球児たちはすごいと思いますし、またあんなに思いっきりプレーできることにうらやましささえも感じます」(石川県・10代男性) ●「プロと違ってハラハラする場面が多い。青春そのものというイメージ」(神奈川県・20代女性) ●「仲間の母校をひいきに応援して7年。私は野球とは違うスポーツを経験してきましたが、球児たちのプレーは当時の自分と照らし合わされ毎度心打たれております。負けた時の悔しさや仲間への想(おも)いなど、純粋に大好きという気持ちで毎日向き合ったスポーツを通した心の成長は時が経った今、私の宝物となっております」(茨城県・30代男性) ●「今息子は野球少年です。高校野球が開催されるたび、胸を高ぶらせて応援しています。毎年夏の甲子園観戦が我が家の恒例行事になりました。部活動の在り方も見直すなど、甲子園出場までの道のりや、高校野球の在り方にも賛否両論ありますが、野球少年たちにとっては夢の舞台であり、憧れの場所。大人の利権や利害関係による弊害によってそれらが変わることなく生き続けてくれることを願っています。そして、子供たちにとっていつも希望のある、最善の選択をしていける社会であって欲しいと願います」(東京都・40代女性) ●「越県を含む野球留学については賛否両論があるが、私は否定はしない。高校で野球をやる理由はみな異なって当然だが、良い指導者や環境、出場機会を求めて親元を離れる決意をした15歳(あるいはそれ以下)の少年少女の本気を立派だと思う。大学に進学するとなれば多くの学生が全国、更には海外を視野に入れることを考えれば問題はない。学生に帰れるふるさとが増えることはすてきなことだと思う」(宮城県・20代女性) ●「私の出身高校は、独自の応援歌があり、日本全国どこの高校とも応援歌がかぶることがないということで、皆熱唱しながら、楽しみながら、熱い試合を見守っていました。私のように、これまで野球と無縁だった人も、高校の野球応援を機に野球に興味を持つ人は少なからずいると思います。ぜひ、学校生活としての野球と大会としての野球、双方の側面から選手が活躍しやすい環境を整えてほしいなと思います」(新潟県・20代女性) 平和にしみじみ感謝 主婦 奥寺 幸子 (北海道 74) 中学の同級生が市内の強豪校の正捕手になり、地方大会を勝ち進んで甲子園に出た。応援していて高校野球が大好きになった。楽しくて、うれしくてたまらない様子でプレーする選手たちの姿は実にすがすがしい。仲間と強い絆で結ばれる彼らを思うと、胸がキュンとなる。 特に夏の大会。私は終戦の年の8月、樺太から一家で引き揚げた。乗るはずだった船はソ連(当時)の攻撃を受けて沈没し、多くの子どもたちが犠牲になった。次の船に乗った私たちは偶然助かった。 だから、球児たちの明るくはつらつとした姿を見ると、今日の平和にしみじみと感謝したくなる。この大会があるかぎり平和は続く、どうか途切れないようにと祈るばかりだ。 開会式の入場行進で、誇らしさの中にあどけなさも残る、弾(はじ)けんばかりに輝いた顔、顔、顔! 私は涙がこぼれ、幸福感でいっぱいになる。 今も心のよりどころ 会社員 桜井 雄司 (長野県 53) 「高校で野球を始めた生徒が何人もいるぞ」。監督のN先生の言葉が人生のターニングポイントになった。地元の県立上田高校入学直後、野球部の練習を見学している時だった。高校野球にあこがれていたのだが、中学まで経験があまりなく野球部入部をためらっていた。N先生の言葉で入部を決めた。 野球はなかなかうまくならず、試合ではユニホームを着られなかったが、ノックの補助をしたり、試合のスコアをつけたりしながら、N先生の一番近くで野球を楽しんだ。 2年の時、甲子園の夢に大きく近づいた。地方大会決勝に進出したのだ。私はスタンドで声援を送ったが、岡谷工業に0―5で敗れ夢はかなわなかった。就職後は先生の指導を受けた別の学校の先輩に誘われ大阪に転勤。妻と出会い甲子園球場に通った。高校野球に寄り添えたことは今も心のよりどころになっている。 100年かけ浸透 日本文化に ノンフィクション作家・佐山和夫さん 高校野球は最初から、①フェアプレー②基本に忠実③チームワークの三つを大切にしてきました。その精神は100年かけて、全国津々浦々の学校に浸透しています。 それは学生のために唱えた精神ですが、ベースボール本来の間違いを是正することにもなりました。野球は自由と平等を体現した素晴らしいゲームですが、一方で勝つために手段を選ばないような危うさを秘めています。実際、野球の母国である米国は、いかさまや八百長、薬物問題など、様々な問題で苦しんできました。日本で盛んになり始めた頃、東京朝日新聞の野球害毒論キャンペーン(1911年)で、新渡戸稲造が「野球は巾着切り(スリ)の遊戯」と批判したのも分かります。 だから、高校野球は1915年の第1回全国中等学校優勝野球大会から、試合の前後に整列して礼をする方式をとりました。野球はこうやってやるという模範を示したのです。今では社内野球でも皆さんがやっています。 基本を大切にし、バントなどのチームワークも大切にしました。皆さんに支持された「ひたむきさ」「正々堂々」「礼儀正しさ」「チームワーク」といった要素は、まさに高校野球によってできあがったと言っていいでしょう。日本人の知恵、加工・品種改良の国ならではの応用能力を見事に発揮し、野球の価値を高めたのです。 そこに郷土愛とお盆という要素も加わりました。高校野球は実によくできた日本の文化です。ぼくは「世界遺産」にしたいと願っています。(聞き手 編集委員・安藤嘉浩 聞き手 ) 郷土思う 応援歌で一体感 楽天野球団・ジントシオさん 長い間、音楽活動をしながら野球、サッカー、バスケットボールなどの応援歌を手掛け、今季から楽天野球団で応援プロデュースチームの一員となっています。高校野球でも多くの学校で、私がつくった数々の応援歌を使ってくれています。 昨夏、甲子園に初出場した早稲田佐賀の生徒のみなさんと体育館で、オリジナル応援歌を作り上げました。甲子園で最高の思い出を残そうと、テーマは「最高の夏にしようぜ!」。2010年創立の学校で、佐賀県外からの生徒も多く、地元の愛着がまだ薄い部分を払拭(ふっしょく)すべく、「勝たんと唐津に帰れんけん」という方言を使うなどして郷土の共感も得られるようにもしました。こうした応援が、高校野球が多くの人から共感を得られる要素だと実感します。 02年に日韓が共催したサッカーワールドカップ以降、ハロウィーンを含めて渋谷などに人が集まることが増えた気がします。何かを分かち合いたい、一体感を味わいたい気持ちが人々にあるのかもしれません。高校野球の応援も、両手をリズミカルに上下させる「アゲアゲホイホイ」のように、ダンスを採り入れたものが増えています。 高校野球は試合時間が短く、はつらつとしている。個人的には外野フライを懸命に追い、ショートゴロを必死にさばくシーンに見入ってしまう。プロより遅く、きれいではないけど、頑張っている姿が好きです。(聞き手 聞き手 編集委員・中小路徹) ◇ |
応援風景? 礼儀正しさ? 高校野球に残したいことは
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