プロ野球を対象とした「野球くじ」の導入に向けて、日本野球機構(NPB)とプロ野球12球団が21日、本格的に検討を始めた。NPB幹部と12球団の代表者が那覇市内で会議を開き、スポーツ振興くじ(toto)に野球を加えることを正式な議題として取り上げた。強硬に反対している球団はないとみられる。今後は選手会や審判員との調整が必要だが、早ければ2019年から実施される可能性がある。
野球くじ、課題は? 過去には「黒い霧事件」の影響も
関係者によると、購入者が自分では勝敗を選べず、コンピューターが無作為に選ぶ「非予想方式」を想定している。サッカーのtoto「BIG」と同じ方式だが、野球の場合は投票後に対象試合が分からない方式が検討されているという。たとえば、1週36試合のうち一部を対象とするが、どの試合かはtotoの結果が出るまで分からない、という形だ。対象試合数や雨天中止の扱いなど、詳細な方式は今後詰めていく。
サッカーJリーグなどを対象としたスポーツ振興くじは、16年度の売り上げが約1118億円にのぼり、収益の一部がスポーツ団体へ助成されている。野球くじが導入されれば、プロ野球も助成の対象となり、NPBと12球団が行う野球振興事業などに充てられることになる。Jリーグでは新スタジアム建設費の助成にも使われており、球界でも新球場建設の際の助成に使われる可能性もある。
球界では1970年ごろの「黒い霧事件」と呼ばれる八百長騒動の反省もあり、野球くじに慎重な姿勢だった。一方、20年東京五輪やそれ以降のスポーツ界発展のための財源として、政界などから野球くじ導入への期待が高まっていた。