名古屋汎太平洋平和博覧会ポスター
名古屋市博物館で開催中の新収蔵資料展で、1937(昭和12)年にあった「名古屋汎(はん)太平洋平和博覧会」のポスターが展示されている。名古屋史上最大の催事といえる「汎太博」の資料は、公式報告書ほか数点を所蔵していたが、意外なことにポスターの収蔵はこれが第1号だ。
「春霞(はるがすみ)に浮く陸の龍宮(りゅうぐう) 粋をきそふ麗容 汎太博の緞帳(どんちょう)上(あが)る」と当時の大阪朝日新聞が開幕を報じた。国防館や透明人間館、台湾館やブラジル館など50を超すパビリオンに78日間で460万2628人(同紙)が訪れた。
「数種類印刷されたポスターの中で、500点の作品から選出された懸賞応募ポスターの1等作品。実物はそんなに残っていないのでは」と桐原千文学芸員。「持っていないのでしたら差し上げます」と長野県民が無償で提供してくれた。
2016年度中の新収蔵品455件から、話題を呼びそうな10件を選んで公開している。ほかには、江戸中期の名古屋城下を記録した風俗絵本「名陽旧覧図誌」の第1巻、みその作り方を詳述した江戸末期の「味噌(みそ)耕作之記」などが並ぶ。3月25日まで。
ちなみに、「汎太博」を撮影した動画が、津島市立図書館(愛知県)の郷土映像資料「昭和初期の津島と飯田毛織(けおり)」(DVD・61分)に残っている。思い思いに着飾った飯田毛織の社員と家族らが会場を見学してまわる様子が、鮮明度はいまひとつだが、7分20秒にわたって記録されている。誰でも借り出せる。(佐藤雄二)