「ピンカートンに会いに行く」(C)松竹ブロードキャスティング
商業映画デビューから1年の新鋭、坂下雄一郎監督の3作目となる「ピンカートンに会いにいく」が公開中だ。前2作品と同様、自ら手がけたオリジナル脚本を採用した。20年前に解散した元アイドルグループのアラフォー女子たちが再結成に向けて奮闘するコメディーに仕立てている。
人気が出る直前、メンバーの仲たがいから電撃解散したアイドルグループ「ピンカートン」。夢を捨てきれずに売れない女優を続ける元リーダーの優子(内田慈〈ちか〉)はメンバーだった4人を訪ねるが、彼女たちの多くが主婦として子育てなどに忙しく、案の定、拒絶されてしまう。
坂下監督は広島県出身の31歳で、東京芸大大学院などで映画を学んだ。「アイドルはたくさんいるが、ずっと続けるのは難しい。いまはいいけれど、これから先どうなるのだろうと興味があった」
内田は今作が映画初主演。「優子はいつも文句ばかり言って人のせいにしている。すごく不器用で、自分の気持ちを表現するのがへたくそ。優子が抱えている不安は複雑だが、未来に対しての漠然とした不安は自分も常に感じているので共感できる」という。
舞台で注目され、近年は映画への出演も相次ぐ。本作と同時期に公開の「神と人との間」(内田英治監督)ではヒロインを演じた。「舞台も映画も、表現の場としてはまったく変わらない。役者としてやる作業は同じ。軸足は舞台だが、映画で幅が広がるのでありがたい」
名古屋・栄のセンチュリーシネマ。(滝沢隆史)