トランプ米大統領が拠出金の半分以上を凍結させた国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が、個人の寄付を含む世界的な資金調達キャンペーンを展開している。これに賛同した日本の企業がインターネット上で寄付金を募り始めた。目標は1億円。国連機関を対象にしたクラウドファンディングは極めて異例だ。
最大の支援国・米国の拠出金凍結で未曽有の財政危機に陥ったUNRWAは1月下旬、5億ドル(約531億円)を目標とする資金調達キャンペーンを開始。これまで頼りにしてきた各国政府などだけでなく、個人にも寄付を要請した。
東京のファンド運営会社ミュージックセキュリティーズの小松真実(まさみ)社長(42)はUNRWA幹部から苦境を聞き、「日本の個人の思いのこもった資金をパレスチナ難民支援に役立ててほしい」と協力を申し出た。 同社は東日本大震災の被災地支援のファンドを作り、半額寄付・半額出資の形では3万人から11億円を集めた実績がある。UNRWAには全額を寄付する。
UNRWAは1949年に設立され、パレスチナ自治区や隣国ヨルダン、レバノンなどでパレスチナ難民530万人超に教育や医療、食料などの支援をしている。小松社長は「十分な教育が受けられなければ、子どもが夢を持てなくなる。日本は中間層が多く、一人ひとりが世界の問題に貢献できる」と話す。(エルサレム=渡辺丘)