新名神高速道路の工事で起きた最近の主な事故
15日午後4時20分ごろ、大阪府枚方市楠葉の淀川河川敷の新名神高速道路建設工事現場で、「作業員が川に転落した」と工事関係者から119番通報があった。府警や枚方寝屋川消防組合によると、鋼材(H鋼)が落下し、その上で作業をしていた作業員がともに転落。心肺停止の状態で病院に搬送され、まもなく死亡が確認された。
枚方署などによると、亡くなった作業員は高知市の山下大介さん(32)。現場では、淀川に架かる橋を造るために、作業員約20人で桟橋を延ばす作業をしていたという。山下さんはクレーンの誘導など現場で指揮をする立場で、水面から5メートルほどの高さから幅約40センチの鋼材とともに落下したという。同署は今後、死因などについて調べる。
工事は西日本高速道路(NEXCO西日本)が、共同企業体に発注。同社などによると、事故が起きた場所は、2024年に開通予定の高槻―八幡京田辺間にあり、亡くなった山下さんは下請け会社の社員だったという。同社は今回の事故を受け、新名神での橋の工事を一時的に中止することを決め、安全確認を進める。
新名神の工事現場をめぐっては16年4月、神戸市北区で橋桁が約15メートル下の国道に落下して作業員2人が死亡、8人が負傷した。同年10月には兵庫県猪名川町で足場撤去中の作業員が転落死。昨年6月にも大阪府箕面市で鉄板の下敷きになった作業員が死亡、同9月には足場から作業員が転落死するなど、事故が相次いでいる。
NEXCO西日本の村尾光弘・関西支社長は15日夜の記者会見で「重大事故が続けて起き、非常事態宣言を出している中で再び事故を起こしてしまい、おわび申し上げる。原因究明をきちんとし、再発防止策を進める。亡くなった作業員やご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げる」と話した。
今回の事故現場は京阪樟葉駅の南西約800メートルの河川敷で、ゴルフ場やランニングコースがある。近くに住む60代の女性は「夕方に救急車のサイレンの音が聞こえた。新名神の工事では度々事故が起きているし、近くでもあって驚いた」と話した。
新名神高速道路の工事をめぐる最近の主な事故
【2016年】
○4月22日 神戸市北区道場町平田で架設中の橋桁が落下。作業員2人が死亡、8人がけが
○5月19日 大阪府箕面市下止々呂美(しもとどろみ)で橋桁工事中に仮設の支柱が倒れて下を走る道路をふさぐ
○10月3日 兵庫県猪名川町広根の高架橋工事現場で足場撤去中の作業員1人が転落し死亡
【2017年】
○6月19日 大阪府箕面市下止々呂美で作業員が鉄板の下敷きになって死亡
○9月12日 大阪府箕面市下止々呂美で作業員が足場から転落して死亡
○11月14日 兵庫県猪名川町つつじが丘1丁目で作業員が落下した鋼材に足を挟まれて大けが