日米地位協定に基づく米国政府の補償責任についての米側の主張
沖縄県うるま市で2016年4月、会社員の女性(当時20)が殺害された事件で、那覇地裁が元米軍属の被告(34)に遺族への損害賠償を命じたにもかかわらず、本人に支払い能力がないうえ、米国政府も負担しない方針であることが分かった。米軍が雇用する軍属の事件では、日米地位協定に基づいて米側が補償金を負担する仕組みがあるが、この被告は米軍との雇用関係がなかったためという。
女性殺害、米側が補償金支払い拒否「軍が雇用してない」
複数の日本政府関係者が明らかにした。外務、防衛両省は在日米軍などに支払い要請を続けている。
この事件で殺人罪などに問われたケネフ・フランクリン・シンザト被告は、昨年12月に那覇地裁で求刑通り無期懲役の判決を受けた。刑事裁判に続いて同地裁は今年1月、被害者支援のための「損害賠償命令制度」に基づき、被告に遺族への賠償を命じる決定を出した。非公開の手続きのため賠償額は明らかになっていないが、遺族側の代理人は「請求通りにおおむね認められた」としている。
日米地位協定では、米軍人らによる公務外の不法行為について本人に支払い能力がない場合、被害者側が米国政府に補償金を請求できる制度がある。被告側が「裁判所が決めた賠償額を支払う能力がない」という趣旨の主張をしたことから、遺族側はこの制度に基づき米国政府に補償金を請求する準備を進めている。
地位協定では、米国政府が補償…