シリアの首都ダマスカス近郊の反体制派支配地域・東グータ地区で22日、荷物を手に避難する住民ら(シリア国営通信提供)=AP
アサド政権軍による猛攻が続くシリアの首都ダマスカス近郊の反体制派支配地域・東グータ地区で、住民が地区に残るか、別の地域に避難するかの選択を迫られている。ただ、戦闘のため動けない住民も多い。2月中旬以降だけで1600人以上が死亡したと言われる「この世の地獄」で、被害の拡大が懸念される。
「東グータではすべてを失ったが、無事に避難できてほっとしている」。23日午後、東グータ地区ハラスタから北西部イドリブ県に到着した小学校教師イブラヒムさん(27)は、朝日新聞のインターネット電話での取材にこう話した。
ハラスタを拠点に抗戦してきた反体制派は、撤退について政権軍と合意。22日に戦闘員や住民らをバスで反体制派の最大拠点、イドリブ県に避難させる移送が始まった。イブラヒムさんは23日早朝に同県に着いたという。
政権軍支配下の東グータ地区に残るべきか迷った末、イブラヒムさんはイドリブ行きを選んだ。「政権軍は反体制派の戦闘員のみならず、住民も『テロリスト』とみなしている。残れば処刑されたり、拷問を受けたりする可能性がある」と考えた。
政権軍は2月下旬からの地上作戦で、東グータ地区の8割以上を制圧した。
東グータ地区最大の街ドゥーマ…