シリア北部の勢力図
少数民族クルド人の勢力が支配するシリア北西部アフリンに越境侵攻したトルコ軍が、奪取した地域を報道陣に公開した。トルコ軍はアフリン中心部に迫る一方、米国から軍事支援を受けるクルド人勢力は、「対トルコ」でアサド政権にも共闘を呼びかける。トルコ軍の侵攻は、トルコと米国やアサド政権の衝突を誘発しかねない。(マルサワ=其山史晃 マルサワ=其山史晃)
トルコとシリアの軍事衝突も懸念
今月3日、アフリン北東部、トルコ国境近くのブルセヤ山。標高約850メートルの山頂からは北側にトルコ、南側にシリアのオリーブ畑が一望できる。1月20日にアフリンに侵攻したトルコ軍は同28日にこの山をクルド人勢力から奪った。
周辺を歩くと、高さ3メートルほどのコンクリート製の建造物がいくつも壊されている。案内役のトルコ軍将校は「クルド人勢力はこの監視塔から(トルコ側の)キリスを狙ってロケット弾を発射した」と説明した。
トルコ軍はこれまでにトルコ国境に接する山間部を制圧。エルドアン大統領は今月9日の演説で「アフリン中心部は包囲された。我々が入るのは近い」と話した。
ブルセヤ山から約15キロ北西のトルコ国境近くにあるマルサワ村。トルコ軍は山間部の作戦で、2月下旬にクルド人勢力を撤退させた。今はトルコ軍と共闘する反体制派武装組織「自由シリア軍」の戦闘員らが駐留し、警備にあたる。10~20代の戦闘員らは小銃を携え、迷彩柄の服にジーンズ、スニーカーという格好で、口々に「テロとの戦いのため、クルド人勢力を殺す」と気勢を上げた。
トルコのシリア北部への侵攻は…