仏南部トレブで23日、男が立てこもったスーパーの外で警戒する警官ら。SNSの動画から=ロイター
フランス南部トレブで23日午前(日本時間同日夜)、男がスーパーに押し入って2人を殺害、人質をとって立てこもった。男は「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んで店に入り、過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員だと主張したといい、テロ事件とみられる。治安部隊が男を射殺したが、男は同日朝に車を強奪する際にも1人を殺害していたという。
IS系のアマク通信は23日、「攻撃したのはISの戦闘員である。対IS有志連合を標的にせよとの呼びかけに応え、実行した」と伝えた。
マクロン大統領は欧州連合(EU)首脳会議に出席していたブリュッセルでの記者会見で「テロ攻撃だと思われる。ISに感化されて過激化する人物がおり、テロの脅威は高まっている」と強調した。
事件現場で記者会見したコロン内相によると、容疑者は26歳の男。仏メディアは近隣の町カルカソンヌに住むモロッコ系の人物だと伝えている。2015年11月に130人が犠牲になったパリ同時テロの犯行グループの一人、サラ・アブデスラム容疑者の釈放を要求したといい、仏捜査当局の対テロ部門が動機などの解明を急いでいる。
現場では、駆けつけた治安当局者の一人が、人質の一部の身がわりとなってスーパー内に入り、携帯電話で内部の様子を捜査陣に伝えていたという。
これに先立つ23日朝、男はカルカソンヌで車を強奪。スーパーに立てこもる直前には、警官に向けて発砲し、けがを負わせた。人質事件が起きたトレブは、南仏の主要都市トゥールーズの南東約100キロに位置する人口5千人ほどの町。(パリ=青田秀樹)