25日、火災が起きたケメロボのショッピングセンター。ロシア緊急事態省提供=AFP時事
ロシア緊急事態省によると、同国西シベリアの工業都市ケメロボの大型ショッピングセンターで25日火災が起き、26日朝までに買い物客ら64人の死亡が確認された。ロシア・メディアによると、館内の映画館で観客が逃げ遅れ、併設された遊戯室にいた多くの子どもも犠牲になった模様だ。
確認できていない行方不明者がいる可能性もあり、当局が捜索を続けている。タス通信によると、連邦捜査委員会は出火元とみられる4階を借りている女性らショッピングセンターの関係者4人を拘束した。
火災が起きたのは25日午後。緊急事態省幹部はタス通信に「消防が到着した時には火元が分からないほど大量の煙が出ていた」と話した。激しく燃えていた最上階の4階が崩れ落ち、救出が困難になったという。
ショッピングセンターは映画館や屋内動物園がある子どもに人気の大型娯楽施設。4階に三つある映画館のうち二つが3階に崩れ落ち、大半の遺体がその周辺で見つかったという。映画館のそばには子どもが遊ぶ部屋があり、プラスチック製の遊具が多数あったといい、大量の黒煙の原因になった可能性がある。
買い物客の一人は国営テレビ「ロシア24」に「多くの子どもが親と離れて遊んでいた」と証言した。
連邦捜査委員会は「非常口が閉鎖されていたなど、深刻な違反があった」としている。地元住民らは、ショッピングセンターの映画館はチケットを持たない人が入らないよう上映中しばしばドアに鍵をかけていたとメディアに話しており、捜査当局が調べている。
出火後約100人が店内から避難したが、「火災について館内放送はなかった」と話しているという。
原因については配電設備が古かったという見方や、遊戯室にいた子どもの1人がライターで遊んでいたとの情報もある。
タス通信などによると、アンナ・クズネツォワ大統領子どもの人権全権代表は「(被害拡大の)原因は職務怠慢だ。私たちはまた悲劇の目撃者になっている」と話した。ロシアでは2009年にウラル地方ペルミのナイトクラブで花火が原因で153人が犠牲になる火災が起き、出口の位置など構造的な欠陥が多数の犠牲者を招いたと指摘された。
ケメロボは炭鉱で知られるケメロボ州の州都で人口約53万人。(モスクワ=喜田尚)