29日に開業したTOHOシネマズ日比谷=東京都千代田区
東京・日比谷に29日、35階建ての複合施設「東京ミッドタウン日比谷」が開業した。4~5階には最新設備を備えた都内最大級のシネコン「TOHOシネマズ日比谷」が入る。有楽町・日比谷周辺には古くから映画館や劇場が多かったが、開業を機に、日比谷を「日本が世界に誇れる映画・演劇の街」としてアピールする動きも始まっている。
TOHOシネマズ日比谷は、全13スクリーン約2800席。メインのスクリーンには日本初導入の音響設備を備え、3千円の追加料金が必要な革製のリクライニングシートを設置。隣の人が目に入らないように仕切りがあり、「優雅に鑑賞できる」(同社)という。
運営するTOHOシネマズは、近隣の有楽町マリオン内で、1933年開業の旧日本劇場を前身とする「TOHOシネマズ日劇」を運営していたが、2月4日に閉館。今回、「映画の宮殿」をテーマに、最新の設備をそろえたシネコンに場所を移して生まれ変わったかたちだ。
有楽町・日比谷周辺には、映画館のほか、東京宝塚劇場、帝国劇場などの劇場がひしめいている。東宝グループ創業の地でもある。今回の開業で、日比谷のエンターテインメントの拠点としての性格がより強まった。
新たなシンボルもつくられた。待ち合わせ場所として使われることもあった日比谷シャンテ前の広場は、「日比谷ゴジラスクエア」として整備。シン・ゴジラをベースにした巨大な「新・ゴジラ像」が設置され、旧ゴジラ像はTOHOシネマズ日比谷に移された。
こうした動きにあわせて映画の配給会社や演劇の業界団体が2月に「東京アート&ライブシティ構想」を発表。4月20日に劇場などの情報を集めたホームページを開設する。英語での発信も行い、訪日外国人の取り込みも図っていく。実行委員会の担当者は「日本の観光資源の一つにしていきたい」と話している。(森田岳穂)