突然現れた怪獣に驚き、下関市の唐戸市場を逃げ惑う人々=北九州市・下関市提供
関門海峡に突如現れた怪獣が、街に襲いかかる――。映画「ゴジラ」をほうふつとさせるショートムービーを、北九州市と山口県下関市がネット上に配信し、再生回数が1カ月足らずで26万6千回を超える人気ぶりだ。両市はこの勢いを観光客増加につなげようと意気込む。
■海外からの集客狙う
映像のタイトルは「COME ON! 関門!~海峡怪獣~」。北九州市と下関市が、関門海峡と周辺の観光地をPRし、海外からも観光客を呼び込もうと制作した。2分半ほどの映像で、企画・監督は、2020年東京五輪の招致映像の総監督も務めた映像クリエーター、江口カンさんだ。
映像は、少年たちが関門海峡にボールを落とす場面から始まる。「ここは潮の流れが速いぞ」。ぼやく彼らの前に、海中から突然現れるのが巨大な怪獣「カイセンドン」だ。パンパンに膨らんだフグの胴体に、カニとタコの触手でできた手足。壇ノ浦で敗れた平家の怨念がとりついた平家ガニが、下関のフグや海峡の特産・タコなどと融合した怪獣で、身長は関門橋よりずっと高い229メートルだ。
北九州市の門司港レトロ地区や下関市の唐戸市場にいた人々は、悲鳴を上げて逃げ惑う。怪獣は陸をめざして足を踏み出すが、倒れて海にのまれる。怪獣を倒したのは、映画「シン・ゴジラ」のような戦闘機の攻撃でも薬剤を用いた作戦でもなく、関門海峡の速い潮の流れだった。
関門海峡の潮流は、最大で10ノット(時速18・5キロ)を超えるとされ、世界有数の速さ。両市の特産や観光地はいくつもある中、インパクトのある映像を模索していた江口さんは、潮流に着目し、怪獣を登場させれば強烈な印象を与えられると考えた。
CG制作には映画「シン・ゴジラ」にも携わったチームを起用した。江口さんは「テクスチャー(質感)や動きや合成、すべてにおいてリアルを追求した」と説明する。
海外の観光客を意識して、登場…