日本航空石川―木更津総合 九回表日本航空石川2死一、三塁、上田は左前に勝ち越し適時打を放つ=林敏行撮影
(10日、高校野球 日本航空石川6―5木更津総合)
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逆転の気配へ、甲子園の空気が変わった。
九回、日本航空石川が2点差に追い上げた後の2死一、二塁。三桝が外の変化球に泳がされた。打球は一塁手の左に転がる。アウトになれば試合終了。だが、投手の位置を見て三桝は確信した。
「ベースカバーが遅れている。セーフになれる」。一塁手からの送球を受けて投手が踏んだ右足より一瞬早く、一塁を駆け抜けた。
満塁となり、原田は「完全に流れはこっち。初球から絶対にいってやろうと思っていた」。初球の真っすぐを右前に運び、2点適時打で同点に。なおも一、三塁。続く上田の左前適時打で、ついに勝ち越した。怒濤(どとう)の4連打だった。
日本航空の選手は皆同じ光景を思い出していた。星稜との石川大会準決勝。八回に5点差を追いつき、サヨナラ勝ちした。上田は「星稜に勝ったのが自信になって、今日の九回もベンチの雰囲気が良かった」。
逆転の勢いの裏に、緻密(ちみつ)な分析があった。木更津総合の山下は大会屈指の好左腕。だが、映像を見て、直球とスライダーを投げる時の違いを見抜いていた。右打者は直球狙い、左打者はベース寄りに立って外のスライダーを踏み込んで打ち、攻略に成功した。
山下のベースカバーが遅れるのも事前に把握していた。投げた後に三塁方向に体が流れる傾向がある。九回も出足が遅れ、三桝が競り勝った。「今まで対戦した中で一番の投手を打てて自信になる」と主将の三桝。「逆転の日本航空石川」が、甲子園でも代名詞になりそうだ。(増田啓佑)
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○佐渡(日) 八回1死二、三塁のピンチを無失点で切り抜け、直後に味方が逆転。「頼もしいバッターたちが逆転してくれると信じていました」
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■日本航空石川は前回に続き初戦で逆転勝ち
初出場だった第91回大会(2009年)は、初戦の2回戦で明桜(秋田)に3―2で逆転勝ち。一回に2点を先行されたが、五回に追いつき、延長十二回にサヨナラで勝った。