駒大苫小牧打線を完封し、一塁手山本③とハイタッチをする静岡の投手春=内田光撮影
(24日、選抜高校野球 静岡7―0駒大苫小牧)
ノックで負傷、頭に死球…アクシデント続いた駒大苫小牧
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頭部への死球は、打者だけでなく、投げた投手にも大きな影響を与える。内角を突く怖さが無意識に残り、その後の制球が甘くなることがある。一回。静岡のエース春(はる)は頭部への死球でピンチを迎え、自分の投球を見失いかけていた。
昨春経験した甲子園のマウンドだが、「緊張していた」。1番大槻の足に当て、3番小林への直球はヘルメットを直撃した。2死球に「申し訳なかった」。ここで伝令とともに内野陣がマウンドに集まった。
「お前が一番緊張しているじゃないか」。捕手の黒岩をはじめ、みんなが春をいじるように声をかけた。実は試合前、野手陣に「緊張するなよ」などと話していたのが春だったからだ。「お前のピッチングをしろ」。そんな激励に、右腕は落ち着きを取り戻した。「自分の持ち味は、打たせて取ること」。続く横地を変化球で二ゴロ併殺に仕留め、ピンチを脱した。
春には目標がある。「球が遅い投手の代表として、こんな生き方もあるというのをみせたい」。直球は130キロほどだが、投球術でカバーした。同じ球種でもボールの握りを深くしたり浅くしたり。直球もあえて球が沈むように投げた。
微妙にタイミングが狂うから、打者は打てそうで打てない。奪三振は0だが、内野ゴロは15個にのぼった。テンポよく三塁も踏ませずに投げ切り、「気付いたら完封していました」。
わずか84球で今大会の完封一番乗り。栗林監督が「春は春に強いんです」と言う通り、春の主役となった。(吉村良二)
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静岡の3番は2年生の斎藤。「先輩が声をかけてくれて伸び伸びとやれている」とにっこり。三回に先制の2点左中間三塁打。五回も2点右越え三塁打を放ち、3安打4打点。昨秋は2番打者だったが冬のトレーニングでスイングスピードが上がり、中軸を任された。「2番でもバントはしていなかったので打つ気持ちは変わらない。でも3番はちょっとうれしいです」