送迎保育園のイメージ
4月から保育園に入ろうと申し込んで落ちた子どもが、今年も大都市圏を中心に6万人を超えた。都市部では用地や保育士の不足が施設を増やす障壁となる。その壁を乗り越えようと、自治体も知恵を絞っている。
認可保育施設1次、4人に1人落選 主要自治体で6万人
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待機児童問題「見える化」プロジェクト
ミスマッチ埋める策「送迎保育園」
大都市部のベッドタウンでは、通勤に便利な駅周辺に保育のニーズが集中する。地価が高いこともあって、保育施設の整備は追いつかない。それなら、空いている郊外に誘導できないか――。
3月半ばの夕方。東京都町田市の町田駅から徒歩5分の中心部にある「つながり送迎保育園・もりの」にワゴン車が横付けされた。
「おかえりー」。駆け寄った保育士がにこにこと見守る。視線の先には、チャイルドシートに収まった子どもたち。車で約15分離れた郊外の保育園から送迎され、ここで保護者のお迎えを待つ。
町田市では町田駅周辺や南部の保育ニーズが増え、昨年5月時点で2歳児までの約140人が待機児童になった。一方、市内の郊外にある保育園は定員に計30人ほど余裕がある。このミスマッチを埋める策として、市は昨年10月に「送迎保育園」を開設した。送迎費用は月額2千円。郊外にある民間の認可保育園に入った子どもの送迎場所として利用できる。
次男(2)が送迎保育園を利用するパートの女性(33)は「近場で保育園を探していたので思ってもみない選択肢だったが、自然豊かな広い園に通えて、とても満足」と話す。
3月まで1~4歳児の18人が利用していたが、4月から定員枠を30人に拡大。バスも2台にして送迎対象を5園から9園に増やす。
小学校跡に「パーク・アンド・ライド方式」
兵庫県西宮市は来春、湾岸地域に60台分の駐車場を備えた認可保育園(定員120人)を新設する。阪急の夙川(しゅくがわ)駅や西宮北口駅周辺など人気エリアに集中するニーズを分散するため、10キロほど南の阪神・武庫川団地前駅の目の前にある小学校跡地に注目。大阪・梅田駅まで電車で約30分で、保護者がマイカーで子どもを送ってから車や電車で通勤する「パーク・アンド・ライド方式」と銘打つ。
共働き世帯が増えるなか、利用者が減る幼稚園を活用する取り組みもある。
昨春の待機児童数が全国で2番…