3日、メキシコ国境警備に米軍を派遣する考えを明らかにしたトランプ米大統領=ワシントン、ランハム裕子撮影
トランプ米大統領は3日、メキシコとの国境に壁が建設され、治安が保たれるまで、国境警備に米軍を派遣する考えを明らかにした。壁建設や移民対策強化に消極的な米議会やメキシコに不満を持つトランプ氏は、より強硬な手段をもって進めようとしている。
トランプ氏はホワイトハウスで、バルト3国の首脳との共同記者会見で「メキシコとの国境は、ひどく安全でない法律によって無防備だ。我々の国境を守るために軍隊の派遣を準備している。マティス国防長官とも話し合った」と述べた。
トランプ氏は、中米ホンジュラスから1千人以上の移民が、隊列を成して米国境に向けてメキシコ内を北上していると警告。「米議会が協力し、とても強い法律を作るよう希望する」と訴えた。議会がこのほど可決した連邦政府の歳出法案では、国境の壁建設費が16億ドル(約1700億円)にとどまり、トランプ氏は「十分でない」と不満を漏らしていた。
トランプ氏はこれに先立ち、ツイッターで、メキシコと再交渉している北米自由貿易協定(NAFTA)に触れて「メキシコにとってドル箱のNAFTAは、今もゲームのカードとして生きている。ホンジュラスや他の国々への援助も同じだ」とも述べた。通商や援助の停止をほのめかし、米国に向かう移民を中米諸国が食い止めるよう迫った。
国境の警備や不法移民の摘発は、国土安全保障省が管轄する国境警備隊が担う。過去、ブッシュ(子)政権時の2006年と、オバマ政権時の10年に軍を派遣した例がある。ただ、規定上、移民摘発や捜査などの行為は行っていない。(ワシントン=土佐茂生)