トランプ米大統領が、米アマゾンに対してツイッターでの批判を強めている。市場は政権の介入強化を懸念し、2日のアマゾン株は前日比5・21%も下落。ほかのハイテク株も引きずられるように軒並み下げ、影響は株価全体に波及した。
トランプ氏は以前から「税金を逃れようとしている」などとアマゾンを非難してきた。ジェフ・ベゾスCEOが、トランプ氏に批判的なワシントン・ポスト紙のオーナーであることも反感につながっている。今回の批判が始まったのは3月29日。「税金を全くかほとんど払わず、米郵政公社を『配達少年』として使い、何千もの小売業者を廃業させている」と述べた。
その後も、ポスト紙をアマゾンの意向を反映した「ロビイスト」と呼び、2日には「アマゾンのせいで郵政公社は大金を失っている。それも変わるだろう」とつぶやいた。
ポスト紙は「アマゾンとは独立して運営している」などと反論。市場では「トランプ氏の介入策は限られる」(投資会社のピーター・ジャンコースキス氏)との声もある。ただ、好調な米景気を引っ張ってきた巨大IT企業の勢いが、トランプ氏らの意向次第で動揺しかねないことのリスクが意識され始めている。
2日はハイテク株が軒並み下落。ナスダック市場の総合指数は前日比193・33ポイント(2・74%)低い6870・12で取引を終えた。情報不正取得疑惑の渦中にあり、米当局の動向に注目が集まるフェイスブック株も2・75%下げた。
米国の関税への報復を中国が決めたこともあり、2日は大企業でつくるダウ工業株平均も大きく下げた。終値は前日比458・92ドル(1・90%)安い2万3644・19ドルと今年2番目の安値となった。(ワシントン=青山直篤)