内戦が続くシリアで化学兵器の使用疑惑が出ていることを受け、トランプ米大統領は9日夕(日本時間10日午前)、軍幹部との会合冒頭、対抗措置について「今夜か、非常に近いうちに決断を下す」と述べた。トランプ氏は化学兵器の使用はアサド政権軍によるものとしており、同政権に対して近く軍事攻撃に踏み切る可能性がある。
トランプ氏は化学兵器使用について「身の毛のよだつような攻撃だ」と批判し、「残虐行為を許してはならず、米国の力で止めることができる」と強調した。さらに「我々には多くの軍事的選択肢がある。すぐに知ることになる」とした。「誰に責任があるか非常に明確になってきている」とも述べた。
トランプ氏はこの日の午前の閣議でも強い対抗措置をとることを強調。使用が疑われているダマスカス近郊が、アサド政権軍によって包囲されていることから、同軍による使用と指摘した。
その上で、アサド政権の後ろ盾になっているロシアやイランの責任にも言及した上で、プーチン大統領の関与にも踏み込んだ。「(プーチン氏が)関わっているかもしれない。その場合、非常に厳しいことになる。誰もが代償を払うことになる」と警告した。
トランプ氏は9日、マクロン仏大統領と2日連続となる電話会談を行い、共同して対抗することを確認。サリバン国務長官代行も同日、ジョンソン英外相と電話会談し、対抗策や協力について協議した。
米政権は昨年4月にもアサド政権が化学兵器を使用したと断定。トランプ氏は「一線を越えた」と宣言し、アサド政権の空軍基地に巡航ミサイル59発を打ち込み、戦闘機などを破壊している。(ワシントン=杉山正)