投票用紙への記入方法
教えて!憲法 国民投票:7
特集:憲法
投票日現在で18歳以上の国民なら、だれでも憲法改正の投票ができる。国のかたちをきめる大切なものだから、できる限り多くの国民が参加できるようにするべきだと考えられている。
18歳以上というのは通常の選挙と同じだ。だが、選挙では公職選挙法などのさだめにより、立候補したり投票したりする「公民権」が停止される人たちがいる。禁錮以上の刑の執行が終わるまでの人や、一定の選挙犯罪をした人だ。国民投票では、こうした公民権停止中の人も投票可能だ。刑務所で服役中の場合は不在者投票ができる。
たびたびある選挙と違い、国民投票はいつあるかわからない。ちょうどその時期に公民権が停止されているからといって、投票の機会をうばわないようにした。
各地の投票所に行くのは選挙と同じだが、投票用紙への記入方法はことなる。
国政選挙では候補者名や政党名を自分で書くが、国民投票ではあらかじめ印刷された「賛成」「反対」の文字を「○」で囲む方法になる。もう一方を「×」にしたり、2重線で消したりするのも有効、とわざわざ法律に書かれている。投票する人の意思をくみとることを重視し、無効票をできるだけ少なくするためだ。
当初の与党案では、賛成は「○」、反対は「×」を書く方法で、何も書かない白票は無効としていた。民主党(当時)の案では賛成は「○」を書き、反対は何も書かない方法で、「わからない」といった理由による意識的な白票は反対とみなしていた。
白票をどう扱うかで両者に大きな違いがあったが、最終的に白票は無効とすることになった。
投票は改憲案ごとに1人1票で、用紙は別々になる。たとえば発議されたのが4項目あれば、投票用紙を受けとって記入し、投票箱に入れることを4回繰り返す、という方法が想定されている。
各用紙は国政選挙のように色わけされるだろう。投票所には、国会議員で組織する国民投票広報協議会がつくった改憲案の要旨が掲示される。
発議から60~180日の間にきめられる投票日。投票は午前7時から午後8時までで、期日前投票は14日前から可能になる。不在者投票や海外に住む人の在外投票も国政選挙などと同様にできる。代理投票や点字投票も選挙と同じだ。
こうした投票については、中央選挙管理会や各自治体の選挙管理委員会が実務や広報を担う。
国民投票法が2007年に成立したあと、通常の選挙でより投票しやすいように公職選挙法が改正された。たとえば、船員が船舶上からファクスで投票する洋上投票では、17年から実習生も対象にくわわった。16年からは、大型商業施設などに共通投票所を設置できるようになった。国民投票でも選挙並みに実施するには国民投票法の改正が必要だ。(蝶名林薫)
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〈投票の有効・無効〉 国民投票法57条は投票の方法について、投票用紙に印刷された賛成か反対の「文字を囲んで○の記号を自書」するとし、「投票人の氏名を記載してはならない」とさだめている。
また、82条は無効になる例として、①所定の用紙を用いないもの②○の記号以外の事項を記載したもの③○の記号を自書しないもの④賛成の文字を囲んだ○の記号及び反対の文字を囲んだ○の記号をともに記載したもの⑤賛成の文字または反対の文字のいずれを囲んで○の記号を記載したかを確認し難いもの――をあげている。
ただし、②の規定について、賛成・反対の文字を「×の記号、二重線その他の記号を記載することにより抹消した投票」はもう一方の投票として有効とする、ときめている。