26日の与野党の動き
衆参両院の予算委員会は26日、野党6党が欠席する中で安倍晋三首相も出席する集中審議を行った。与党は27日の衆院本会議で、政府が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案を審議入りさせる方針を決定。野党6党は審議拒否を続ける意向で、対抗策の検討に入った。
予算委員会の集中審議は、時の首相を追及できる場だ。ただ、野党6党不在では、風景が一変する。
26日の衆院予算委は、安倍首相のこんな冒頭発言で始まった。「北朝鮮に非核化に向けた具体的行動をとるように求めていく。こうした確固たる方針をトランプ米大統領と改めて完全に共有した」
17、18両日の日米首脳会談の成果を強調した報告を受け、最初に自民党の後藤茂之氏が質問に立った。
「トランプ大統領とここまで強い関係を築いているのは、世界のリーダーの中で他にいない」
これに対し、首相は「私はトランプ大統領に米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるよう要請し、トランプ大統領は『ベストを尽くす』と力強く述べた」と応じた。このエピソードは6回も登場。与党が外交の成果を尋ね、首相がアピールするという示し合わせたようなやりとりが続く。
今回の衆院予算委は「外交等」がテーマ。だが、河野太郎外相は海外訪問中で、呼ばれていない。
参院予算委では、与党も森友学園や加計(かけ)学園の問題を取り上げた。しかし、「国民の信頼をいかに回復するか。総理の決意をお聞かせ頂ければ」(自民・塚田一郎氏)、「総理のご決意を国民に届く具体的な言葉で伺いたい」(公明・河野義博氏)といった甘い質問に終始。首相は手元の資料を見ながら、「国民の行政に対する信頼を揺るがす事態となり、責任を痛感している」「信頼回復に向けて必ず全容解明し、うみを出し切る」と、型どおりの答弁を繰り返した。
野党ながら欠席戦術とは一線を画す日本維新の会の片山大介氏は、加計学園をめぐる柳瀬唯夫・元首相秘書官の面会問題をただした。柳瀬氏に関しては2015年4月に愛媛県職員らと首相官邸で面会し、加計学園の獣医学部新設計画を「首相案件」と伝えたとされる同県の文書が残る。
片山氏が「柳瀬さんに話をさせた方がいい」と持ちかけると、首相は「柳瀬元秘書官には様々な指摘に対し、知っていることを全て明らかにしてもらいたい」と踏み込んだ。だが、愛媛県職員らの官邸訪問記録の質問には「改めて関係各室への確認調査を行ったが、愛媛県や今治市の職員が官邸を訪問した記録は確認できなかった」と答えるにとどめた。
衆院予算委の開催に踏み切った与党の狙いは、野党の欠席戦術を責めることだった。河村建夫委員長(自民)は立憲民主党などの欠席にもかかわらず、2時間近く議事を続行し、首相や麻生太郎財務相、与党議員らが委員室で待ち続ける場面を演出。国会空転に対する世論の反発を促した。
ただ、自民党の石破茂・元幹事長は散会後、自らの派閥の会合で指摘した。
「『うみを出し切る』の言や良しで、早急に解明することが必要ではないか。説明責任は政府・与党にある。国民が得心するものを示すことは我々の責任だ」(斉藤太郎)
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