兵庫県三田(さんだ)市の障害のある男性(42)が自宅で檻(おり)に閉じ込められていた事件で、神戸地検は27日、男性の父親で無職の山崎喜胤(よしたね)容疑者(73)を監禁罪で起訴し、発表した。市や捜査関係者によると、男性は障害者手帳を持っていたが市の福祉サービスを受けず、檻での生活は20年以上にわたっていたとみられる。市は第三者委員会を設け、対応に問題がなかったか検証する。
障害者男性、檻に20年か 父親「暴れるため」 兵庫・三田
起訴状によると、山崎容疑者は妻(今年1月に病死)と共謀。2013年4月28日~18年1月21日、長男をおおむね2日に1回約12時間ずつ、自宅の母屋で生活させたほかは、隣接するプレハブ内の南京錠付きの木製の檻に監禁していたとされる。地検は認否を明らかにしていない。
捜査関係者によると、山崎容疑者は1990年代前半に三田市に転入。長男が暴れるなどしたため、まもなく自作の檻に入れるようになった、と県警に説明している。地検は監禁罪の時効にかからない最近5年分について起訴した。
山崎容疑者の妻は数年前から病気で療養し、今年1月に死亡した。親族の県警への説明では、妻は約5年前に「息子の将来が心配」と市に相談したが、「本人を連れてきてほしい」と言われ、対応が立ち消えになったという。市には二十数年前、山崎容疑者が複数回にわたって長男について相談した記録も残っていた。
市は福祉サービスが必要な家庭が孤立した点を教訓とし、5月上旬に法律や障害者福祉の専門家らを含む第三者委員会を発足させ、対応を検証する。
長男は今年1月に保護された際、片目を失明し、もう片方の目もほぼ失明。腰も曲がって伸ばせない状態だった。県警は檻での生活との因果関係についても捜査を続ける。