自宅前に立つむのたけじさん(左)と武野大策さん。扉の横に「たいまつ新聞社」の表札が掲げられている=2015年10月、秋田県横手市
秋田県出身のジャーナリストで、2016年8月に101歳で亡くなったむのたけじさんの遺品が、自宅がある同県横手市に寄贈される。市は図書館で保管し、一部を館内で展示する方針。今年度中にも、反戦・平和を訴えたむのさんの思想や足跡を見られるようになる。
遺族が寄贈するのは、むのさんが横手市で1948~78年に発行した新聞「たいまつ」の原稿や、著書「詞集たいまつ」の草稿、出版物への寄稿文、知人からの書簡、師と仰ぐ中国の作家・魯迅に関する蔵書など。こうした資料は段ボール箱約100箱分ある。このほか、むのさんが自宅の仕事部屋で使っていた机や1階応接間の本棚などもゆかりの品として譲られる。
遺品は28日に運ばれ、市は、JR横手駅から約10キロ西にある市立雄物川図書館で保管し、一部を図書館2階のラウンジ約160平方メートルに展示する方針だ。
むのさんは病気がちになった90歳代半ばから、さいたま市に住む次男・武野大策さん(64)宅に拠点を移していた。大策さん宅には、2011年以降にむのさんが思いを書き込んでいた約6千枚の色紙や「たいまつ新聞社」の表札などがあり、大策さんはこれらも寄贈したい意向だ。
大策さんは「資料をきちんと保管していただけることになり感謝しています。多くの人が接することができるようになり、図書館が反戦平和のシンボル的な施設になったらうれしい」と話している。(茂木克信)